[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1963年(昭和38年)東京大学-数学(理科)[6]

2022.02.19記

[6] n2 より大きい正の整数とする.曲線  y=x^n\cdots(i)上で,x 座標が 012 である点をそれぞれ \rm O,A,B とし,\rm O,A,B をとおり y 軸に平行な軸をもつ放物線 y=f(x)\cdots(ii)をえがく.曲線(i)および放物線(ii)の,\rm O,A の間にある部分の囲む面積を S_1\rm A,B の間にある部分の囲む面積を S_2 とするとき,S_1=S_2 となるためには,n はどのような数でなければならないか.

2022.02.19記
3点を通る2次(以下)の関数を求める方法は沢山あるが,そのうちの2点を通る直線の式を持ち出して考えてみよう.

この考え方を Newton の補間公式という.

[解答]
(0,0),(1,1) を通る2次関数は
f(x)=kx(x-1)+x
とかけるので,これが (2,2^n) を通ることから
f(x)=(2^{n-1}-1)x(x-1)+x
とかける.

g(x)=x^n-f(x)=x^n-(2^{n-1}-1)x(x-1)-x
=x(x-1)\left(\dfrac{x^{n-1}-1}{x-1}-\dfrac{2^{n-1}-1}{2-1}\right)=x(x-1)\{(x^{n-2}-2^{n-2})+(x^{n-3}-2^{n-3})+\cdots +(x-2)\}
とおき,
h(x)=(x^{n-2}-2^{n-2})+(x^{n-3}-2^{n-3})+\cdots+(x-2)
とおくと,
0\lt x\lt 2h(x)\lt 0 であるから,

0\lt x\lt 1g(x)\gt 01\lt x\lt 2g(x)\lt 0

が成り立つ.よって S_1=S_2 となるには,
\displaystyle\int_0^2 g(x)dx=0
となれば良く,実際に積分すると
\dfrac{5-n}{3(n+1)}2^n-\dfrac{4}{3}=0
という条件が得られ,
\dfrac{5-n}{n+1}=\dfrac{1}{2^{n-2}}
となる.n\geqq 5 のときは左辺は0以下となるので不適であるから、n=3,4 で確認すれば良い.

n=3 のとき,両辺が \dfrac{1}{2} で等しくなり適する。

n=4 のとき,\dfrac{1}{5}\neq\dfrac{1}{4} より不適。

以上から n=3 である.

g(x) の変形はマニアックすぎたか。普通に g(x) または \dfrac{g(x)}{x} の増減表を書いてもよい。