[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1973年(昭和48年)東京大学-数学(理科)[1]

2023.08.09記

[1] \mbox{S} を中心 \mbox{O},半径 a の球面とし,\mbox{N}\mbox{S} 上の 1 点とする.点 \mbox{O} において線分 \mbox{ON}\dfrac{\pi}{3} の角度で交わるひとつの平面の上で,点 \mbox{P} が点 \mbox{O} を中心とする等速円運動をしている.その角速度は毎秒 \dfrac{\pi}{12} であり,また \overline{\mbox{OP}}=4a である.点 \mbox{N} から点 \mbox{P} を観測するとき,\mbox{P} は見えはじめてから何秒間見えつづけるか.また \mbox{P} が見えはじめた時点から見えなくなる時点までの,\overline{\mbox{NP}} の最大値および最小値を求めよ.ただし球面 \mbox{S} は不透明であるものとする.

2023.08.09記

[解答]
\mbox{N} における \mbox{S}接平面と点 \mbox{P} の動く平面の交線を l とすると,\mbox{O}l の距離は \dfrac{a}{\cos(\pi/3)}=2a であり,点 \mbox{P} の描く円の半径が 4a であるから,点 \mbox{P} の描く円の中心角が \dfrac{2\pi}{3} の部分だけ観測できることになる.点 \mbox{P} の角速度が毎秒 \dfrac{\pi}{12} であることから,8秒間見えつづける.

また,\mbox{N} から点 \mbox{P} の動く平面に下した垂線の足と \mbox{P} の距離が \dfrac{a}{2} であることから

\overline{\mbox{NP}} の最大値は \sqrt{\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2+\left(\dfrac{1}{2}a\right)^2+\left(2\sqrt{3}a\right)^2}=\sqrt{15}a

\overline{\mbox{NP}} の最小値は \sqrt{\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2+\left(\dfrac{7}{2}a\right)^2}=\sqrt{13}a

空間の円周のパラメータ表示を用いる.

[解答]
\mbox{O}(0,0,0)\mbox{N}(0,0,a)
\mbox{P}\left(2\sqrt{3}a\cos\dfrac{\pi t}{12},4a\sin\dfrac{\pi t}{12},2a\cos\dfrac{\pi t}{12}\right)
とおくことができ,Pが見える条件は
 2a\cos\dfrac{\pi t}{12}\geqq a
より
\cos\dfrac{\pi t}{12}\geqq \dfrac{1}{2}
となることから,-\dfrac{\pi}{3}\leqq \dfrac{\pi t}{12}\leqq \dfrac{\pi}{3} となり,
-4\leqq t\leqq 4 から8秒間見えつづける.

また,\overline{\mbox{NP}}^2=17a^2-4a^2\cos\dfrac{\pi t}{12}であり,
-\dfrac{\pi}{3}\leqq \dfrac{\pi t}{12}\leqq \dfrac{\pi}{3}
から \dfrac{1}{2}\leqq \cos\dfrac{\pi t}{12}\leqq 1であるから
13a^2\leqq \overline{\mbox{NP}}^2\leqq 15a^2
となる.