[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1979年(昭和54年)東京大学-数学(理科)[2]

2023.08.19記

[2] 図のように,半径 1 の球が,ある円錐の内部にはめこまれる形で接しているとする.球と円錐面が接する点の全体は円をなすが,その円を含む平面を \alpha とする.円錐の頂点を \mbox{P} とし,\alpha に関して\mbox{P} と同じ側にある球の部分を \mbox{K} とする.また,\alpha に関して \mbox{P} と同じ側にある球面の部分および円錐面の部分で囲まれる立体を \mbox{D} とする.

いま,\mbox{D} の体積が球の体積の半分に等しいという.そのときの \mbox{K} の体積を求めよ.

 

本問のテーマ

球台と球帽(球冠)の体積

2023.08.19記
球台と球帽(球冠)の体積 - 球面倶楽部 零八式 mark II

[解答]
球の中心から \alpha までの距離を h とおくと,球帽 \mbox{K} の半径は \sqrt{1-h^2},高さは 1-h であるから,\mbox{K} の体積は \dfrac{\pi(1-h)}{6}(3(1-h^2)+(1-h)^2)=\dfrac{\pi}{3}(2-3h+h^3)
である.

円錐面と \alpha で作られる円錐の体積は,底面の半径が\sqrt{1-h^2},高さは \dfrac{1}{h}-h であるから,その体積は \dfrac{\pi}{3}(1-h^2)\left(\dfrac{1}{h}-h\right)=\dfrac{\pi}{3}\left(\dfrac{1}{h}-2h+h^3\right)
である.

よって \mbox{D} の体積は
\dfrac{\pi}{3}\left(h+\dfrac{1}{h}-2\right)
となり,これが半球の体積 \dfrac{2\pi}{3} に等しいので
\dfrac{\pi}{3}\left(h+\dfrac{1}{h}-2\right)=\dfrac{2\pi}{3}
から
h^2-4h+1=0
となる.0\lt h\lt 1 より h=2-\sqrt{3} であり,このとき
\mbox{K} の体積は
\dfrac{\pi}{3}(2-3h+h^3)=\dfrac{\pi}{3}(2-3h+h(4h-1))=\dfrac{\pi}{3}(4h^2-4h+2)=\dfrac{\pi}{3}(4(4h-1)-4h+2)=\dfrac{\pi}{3}(12h-2)=\dfrac{\pi}{3}(12(2-\sqrt{3})-2)\dfrac{22-12\sqrt{3}}{3}\pi
となる.

h=2-\sqrt{3}=\tan\dfrac{\pi}{12}(これぐらいは覚えておこう) であるから円錐の頂角は \dfrac{5\pi}{12} となり,かなり平たい円錐になっている.

1977年(昭和52年)東京大学-数学(理科)[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
も参照のこと.