[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1982年(昭和57年)東京大学-数学(理科)[2]

2023.08.23記

[2] 正4面体 T と半径 1 の球面 S とがあって,T6 つの辺がすべて S に接しているという.T1 辺の長さを求めよ.つぎに,T の外側にあって S の内側にある部分の体積を求めよ.

本問のテーマ
等面四面体と直方体,特に正四面体と立方体
球帽の体積
球の表面積は切り口の厚さに比例
四面体の重心は頂点と底面の重心を3:1に内分

球台と球帽(球冠)の体積 - 球面倶楽部 零八式 mark II
球帯の面積と、球冠の面積(球帽の側面積) - 球面倶楽部 零八式 mark II
球台と球欠(球帽)の体積(その2) - 球面倶楽部 零八式 mark II


2020.11.26記

半径rの球を中心からの距離 a で切った小さい方の体積は
=\dfrac{2}{3}\pi r^2(r-a)-\dfrac{1}{3}\pi (r^2-a^2)a=\dfrac{\pi}{3}(r-a)^2(2r+a)
となる(これはアルキメデスも求めている).この公式は覚える必要はないが,
球欠の体積と球の表面積は切り口の厚さに比例することを利用して導くことができると便利(ルートが含まれる場合は左辺の方が便利というのもある).

[うまい解答]
単位球は一辺の長さ2の立方体に内接し,その立方体に埋め込まれている正四面体が T だから T の一辺の長さは立方体をなす正方形の対角線の長さ 2\sqrt{2}

また,四面体の重心は頂点と底面の重心を3:1に内分するので,球の中心(正四面体の重心)から四面体の面までの距離は対角線の長さ 2\sqrt{3}\dfrac{1}{6}\dfrac{\sqrt{3}}{3} となる.球欠の体積を利用して,求める体積は
4\times\Bigl\{\dfrac{2}{3}\pi\times \Bigl(1-\dfrac{\sqrt{3}}{3}\Bigr)-\dfrac{1}{3}\pi \Big(\dfrac{\sqrt{6}}{3}\Bigr)^2\times\dfrac{\sqrt{3}}{3}\Bigr\}=\dfrac{72-32\sqrt{3}}{27}\pi