[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1987年(昭和62年)東京大学-数学(文科)[3]

2023.08.29記

[3] t の関数 f(t)f(t)=1+2at+b(2t^2-1) とおく.区間 -1\leqq t\leqq 1 のすべての t に対して f(t)\geqq 0 であるような ab を座標とする点 (a,b) の存在する範囲を図示せよ.

本問のテーマ
包絡線

2021.01.20記

包絡線

同じ年に京大理系でほとんど同じ問題が出題された.

[大人の解答]
f(t)=1+2at+b(2t^2-1)=0f'(t)=2a+4bt=0 から t を消去すると,包絡線の式
2a^2+4\Bigl(b-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2=1
が得られる.この楕円2a^2+4\Bigl(b-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2=1と直線f(t)=0 は接する.
接点は,楕円の (u,v) における接線 2ua+(2v-1)(2b-1)=1f(t)=0 を比較して
(u,v)=\Bigl(\dfrac{-2t}{2t^2+1},\dfrac{1}{2t^2+1}\Bigr) となる.

任意の t について原点は f(t)=1 をみたすので,原点は直線の正領域にある.
よって,楕円の接線を -1\leqq t\leqq 1 で動かしたときに常に原点と同じ側にある領域が求める範囲である.

普通は,端点と極値で考える.

[解答]
f(t)=2bt^2+2at+1-b であるから,f(t)-1\leqq t\leqq 1 における最小値は
f(-1) または f(1) または

f\Bigl(-\dfrac{a}{2b}\Bigr)(但し b\gt 0 かつ -1\leqq-\dfrac{a}{2b}\leqq 1)」

である.よって求める条件は
f(-1)\geqq 0 かつ f(1)\geqq 0 かつ
b\gt 0 かつ -2b\leqq a\leqq 2bならばf\Bigl(-\dfrac{a}{2b}\Bigr)\geqq 0

つまり,
b\geqq-2a-1 かつ b\geqq 2a-1 かつ
b\gt 0 かつ -2b\leqq a\leqq 2bならば-\dfrac{a^2+2b^2-2b}{2b}\geqq 0
となる.整理して
b\geqq-2a-1 かつ b\geqq 2a-1 かつ
b\gt 0 かつ -2b\leqq a\leqq 2bならば 2a^2+4\Bigl(b-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2\leqq 1



2022.03.09記
パラメータが2次式のときの包絡線は判別式=0となるので、包絡線の方程式は
4a^2-8b(1-b)=0
となる。

2014年(平成26年)東京大学前期-数学(理科)[6] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

参照のこと。