[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)早稲田大学理工学部-数学[5]

2023.12.20記

[5] xyz 空間において,3\mbox{A}(2,1,2)\mbox{B}(0,3,0)\mbox{C}(0,-3,0) を頂点とする三角形 \mbox{ABC} を考える.以下の問に答えよ.

(1) \angle\mbox{BAC} を求めよ.

(2) 0\leqq h\leqq 2 に対し,線分 \mbox{AB}\mbox{AC} と平面 x=h との交点をそれぞれ \rm P\rm Q とする.点 \rm P\rm Q の座標を求めよ.

(3) 0\leqq h\leqq 2 に対し,点 (h,0,0) と線分 \rm PQ の距離を h で表せ.ただし,点と線分の距離とは,点と線分上の点の距離の最小値である.

(4) 三角形 \rm ABCx 軸のまわりに 1 回転させ,そのときに三角形が通過する点全体からなる立体の体積を求めよ.

2023.12.20記
有名問題で,1990年頃に流行った.

[うまい解答]
(4) \rm ABCxy 平面に正射影してできる
\mbox{A}'(2,1)\mbox{B}'(0,3)\mbox{C}'(0,-3)
x 軸のまわりに回転させてできる立体の体積
\dfrac{1}{3}\pi\cdot 3^2\cdot 3-\dfrac{1}{3}\pi\cdot 1^2\cdot \dfrac{3}{2}=\dfrac{17}{2}\pi
に等しい.

[解答]
(1) \overrightarrow{\rm AB}\cdot\overrightarrow{\rm AC}=0 から \angle\mbox{BAC}=\dfrac{\pi}{2}

(2) 線分 \mbox{BC} を点 \rm A 中心に \dfrac{2-h}{2} 倍拡大した点であるから
\mbox{P}(h,3-h,h)\mbox{B}(h,-3+2h,h)
となる.

(3) -3+2h\leqq 0\leqq 3-h,つまり 0\leqq h\leqq\dfrac{3}{2} のとき,求める距離は hである.

\dfrac{3}{2}\leqq h\leqq 2 のとき \rm Q において最小値
\sqrt{5h^2-12h+9} をとり,これが求める距離である.

(4) 題意の立体の x=h による切り口の断面積を S(h) とおくと,

0\leqq h\leqq\dfrac{3}{2} のときS(h)=\pi(3-h)^2
\dfrac{3}{2}\leqq h\leqq 2 のとき S(h)=\pi(-3h^2+6h)

であるから,求める体積 V
V=\displaystyle\int_0^2 S(h)dh=\displaystyle\int_0^{3/2} \pi(3-h)^2dh+\displaystyle\int_{3/2}^2 \pi(-3h^2+6h)dh=\dfrac{63}{8}\pi+\dfrac{5}{8}\pi=\dfrac{17}{2}\pi
となる.