[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1989年(昭和64年)東京大学-数学(理科)[2]

[2] xy 平面上に y=-1 を準線,点 \rm F(0,1) を焦点とする放物線がある.この放物線上の点 {\rm P}(a,b)を中心として,準線に接する円 C を描き,接点を \rm H とする.a\gt 2 とし,円 Cy 軸との交点のうち \rm F と異なるものを \rm G とする.扇形 \rm PFH(中心角の小さい方)の面積を S(a),三角形 \rm PGF の面積を T(a) とするとき,a\to\infty としたときの極限値\displaystyle \lim_{a\to\infty}\dfrac{T(a)}{S(a)} を求めよ.

2021.01.23記

[解答]
十分大きな a に対して,\rm Gy 座標は \rm Fy 座標より大きくなり,このとき\angle\rm FPH=\theta とおくと,
\dfrac{T(a)}{S(a)}=\dfrac{\sin\angle{\rm FPG}}{\sin\angle{\rm FPH}}=\dfrac{\sin (\pi-2\theta)}{\theta}=\dfrac{\sin 2\theta}{\theta}
が成立する.

焦点 (0,1),準線 y=-1 の放物線の式はb=\dfrac{a^2}{4} であるから,
\sin\theta=\sin \angle{\rm FPH}=\dfrac{\rm PM}{\rm PH}=\dfrac{a}{b+1}=\dfrac{4a}{a^2+4}\to 0 となり,
\displaystyle\lim_{a\to\infty}\dfrac{T(a)}{S(a)}=\displaystyle\lim_{\theta\to 0}\dfrac{2\cos\theta\sin\theta}{\theta}\to 2 となる.


2021.06.10記

懐しい資料が見つかった

ST の具体形は求めなくても極限は求まる.
\triangle{\rm PFH}\lt 扇形{\rm PFH} \lt \triangle{\rm PFH}+\triangle{\rm EFH}
と評価する.その他感心する答案少なからず.