[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)九州大学前期-数学(IIB)[1]

2022.03.05記

[1] a-3\lt a\lt 13 をみたす実数とし,次の曲線 C と直線 \ell が接しているとする。
C:y=|x^2+(3-a)x-3a|\ell:y=-x+13
以下の問いに答えよ。

(1) a の値を求めよ。

(2) 曲線 C と直線 \ell で囲まれた2つの図形のうち,点 (a,0) が境界線上にある図形の面積を求めよ.


2022.03.05記

[解答]

(1) Cy=|(x+3)(x-a)| である.C\ell の接点の x 座標を t とする.

\ell(0,13) を通る直線であり,13\gt -3a であるから (0,13) は放物線 y=x^2+(3-a)x-3a の点である.
よって \ell と放物線 y=x^2+(3-a)x-3a が接することはない.

よって C と直線 \ell が接するとき,接点は Cy=-x^2-(3-a)x+3a-3\lt x\lt a)においてである.
-x^2-(3-a)x+3a-(-x+13)=-x^2-(2-a)x+3a-13 が完全平方式となる必要があり,判別式から
(2-a)^2+4(3a-13)=a^2+8a-48=(a-4)(a+12)=0
が必要である.-3\lt a\lt 13 により a=4 が必要である.

a=4 のとき,C\ell の接点の x 座標は -x^2+2x-1=-(x-1)^2=0 から 1 であり,これは -3\lt x\lt a=4 をみたしているから十分である.

よって a=4 である.

(2) \ell と放物線 y=x^2+(3-a)x-3a=x^2-x-12 の交点を求めると x=\pm5 となることから図(省略)を描くと,求める面積は
\displaystyle\int_{1}^4 \{(-x+13)-(-x^2+x+12)\}dx+\displaystyle\int_{4}^5 \{(-x+13)-(x^2-x-12)\}dx
=\displaystyle\int_{1}^4 (x-1)^2 dx+\displaystyle\int_{4}^5 (25-x^2)dx
=\dfrac{27}{3}+25-\dfrac{5^3-4^3}{3}=9+25-\dfrac{25+20+16}{3}=\dfrac{41}{3}
となる.

(1) で a を求めた後,接点がきちんと考えている枝にあることを厳密には示さないと減点されるであろうが,(2) で具体的に接点が考えている枝にあることを確認することになるので,(2) で接点を含んだ図が描けていれば減点はほとんどされないだろう.

\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} x^2 dx=\dfrac{\beta^3-\alpha^3}{3}=\dfrac{(\beta-\alpha)(\alpha^2+\alpha\beta+\beta^2)}{3}
を使って計算ミスを減らす工夫をしておいた.