[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1994年(平成6年)東京大学後期-数学

2024.01.10記

[1] 正の整数 mk=12,…,m に対して 0\leqq a_k \leqq k を満たす整数 a_1,…,a_m があたえられたときに
[a_m,a_{m-1},…,a_1]_m = a_m \cdot m \, ! + a_{m-1} \cdot (m-1)\, ! + …+ a_1 \cdot 1 \, !
とおく.ただし a_m\neq 0 とする.

(1) [m,,m-1,…,1]_m=[1,0,…,0]_{m+1}-1 を証明せよ.

(2) すべての正の整数は [a_m,a_{m-1},…,a_1]_m の形にただ一通りに表示できることを証明せよ.

(3) n5 以上の整数のとき \dfrac{n\, !}{5}[a_m,a_{m-1},…,a_1]_m の形に表示せよ.

[2] 一辺の長さが l の正方形の内部に半径 1 の円が入っている.ここで l\gt 2 とする.この円が図のように正方形の角から出発して正方形の辺にそってすべらずに正方形の内部をころがる.ただし円が正方形の他の辺に接すれば次にはその辺にそってすべらずにころがるとする.この円の中心が最初にもとの位置にもどってくるまでの円周上の点 \mbox{P} の軌跡を考える.

(1) \mbox{P} の軌跡の始点と終点が一致するための l の条件を求めよ.

(2) l は(1)の条件を満たす最小の長さとする.このとき \mbox{P} の軌跡の長さのとりうる値の範囲を求めよ.

[図]


[3] ある会社である工事を受注した.その工事はまず第 1 工程,第 2 工程,検査の順に行い,3 つの作業はそれぞれ 1 日を必要とする.検査では第 1 工程,第 2 工程に欠陥があるかないかがわかる.検査の結果第 1 工程に欠陥があれば,工事は第 1 工程,第 2 工程ともやり直し,改めて検査をする.第 1 工程に欠陥がなく第 2 工程のみに欠陥があれば,第 2 工程のみやり直して検査する.これらの作業は日曜日を除いて引き続いて行い,検査の結果第 1,第 2 工程ともに欠陥がなければ工事は終了する.各工程ではそれまでの経過とは独立に確率 p で欠陥が発生するものとする.月曜日から工事を始めた場合 n 週間以内にその工事が終了する確率を P(n) とする.

(1) P(1) を求めよ.

(2) P(n) を求めよ.

(3) P=\dfrac{1}{2} のとき 1-P(n)\lt \dfrac{1}{1000} を満たす最小の正整数nを求めよ.