[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(理科)[2]

2024.01.15記

[2] n を正の整数,a を実数とする.すべての整数 m に対して
m^2-(a-1)m+\dfrac{n^2}{2n+1}a\gt 0
が成り立つような a の範囲を n を用いて表せ.

2021.01.11記

[解答]
正の整数nが与えられたとき,すべての整数 m について
m^2+m\gt a\Bigl(m-\dfrac{n^2}{2n+1}\Bigr)
が成立するような a の範囲を n で表す.

y=f(m)=m^2+mm=k における接線
y=(2k+1)x-k^2
\Bigl(\dfrac{n^2}{2n+1},0\Bigr)を通るので,
(k-n)\{(2n+1)k+n\}=0
から
k=n,-\dfrac{n}{2n+1}
における接線が\Bigl(\dfrac{n^2}{2n+1},0\Bigr)を通る.

下に凸な放物線 y=f(m)=m^2+m がすべての整数に対して
\Bigl(\dfrac{n^2}{2n+1},0\Bigr)を通る直線よりも上にある条件は
先程求めた2接線との接点の前後の整数に対して放物線が直線よりも上にあることが必要十分条件となる.

ここで n は整数,-1\lt -\dfrac{n}{2n+1}\lt 0 であるから,
m=-1,0,n において放物線が直線よりも上にある,つまり
m^2+m\gt a\Bigl(m-\dfrac{n^2}{2n+1}\Bigr)
が成立すれば,任意の整数 m について不等式が成立する.

m=-1 で成立する条件は  \dfrac{(n+1)^2}{2n+1}a \gt 0,つまり a\gt 0

m=0 で成立する条件は  \dfrac{n^2}{2n+1}a \gt 0,つまり a\gt 0

m=n で成立する条件は \dfrac{(n^2+n)(2n+1-a)}{2n+1}\gt 0,つまり a\lt 2n+1

よって,求める条件は 0\lt a\lt 2n+1 となる.