[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(理科)[4]

2024.01.15記

[4] 正 3 角形 \mbox{ABC} の頂点 \mbox{A} から辺 \mbox{AB} とのなす角が \theta の方向に,3 角形の内部に向かって出発した光線を考える.ただし 0\lt \theta\lt 60^{\circ} とする.この光線は 3 角形の各辺で入射角と反射角が等しくなるように反射し,頂点に達するとそこでとまるものとする.また, 3 角形の内部では光線は直進するものとする.

(1) \tan\theta=\dfrac{\sqrt3}{4} のとき,この光線はどの頂点に到達するかを述べよ.

(2) 正の整数 k を用いて\tan\theta=\dfrac{\sqrt3}{6k+2} と表せるとき,この光線の到達する頂点を求め,またそこへ至るまでの反射の回数を k を用いて表せ.

2021.01.08記

[解答]
光線を折り返して一直線にしたとき、もとの正3角形の頂点は
\vec{a}=(1,0),\,\vec{b}=(1/2,\,\sqrt{3}/2)とおくと、m\vec{a}+n\vec{b}m,nは整数)の形に書け、

m-n\equiv 0\mod 3 のとき頂点A
m-n\equiv 1\mod 3 のとき頂点B
m-n\equiv 2\mod 3 のとき頂点C

となり、\tan\theta=\dfrac{n\sqrt{3}}{2m+n} が成立する.

(1) 2m+n:n=4:1 より m:n=3:2 となり、互いに素な組は m=3, n=2 である。m-n=1 より、頂点Bに到達する.

(2) 2m+n:n=6k+2:1 より m:n=6k+1:2 となり、互いに素な組は m=6k+1, n=2 である。m-n=6k-1\equiv 2\mod 3 より、頂点Cに到達する.
それまでに辺と交わる回数(反射の回数)は
60度向きの辺とは m-1,120度向きの辺とは m+n-1,水平向きの辺とは n-1の合計2(m+n)-3=12k+3回である.