図1-1(略)
A
図1-1に示すように,地面からの高さが大きくなるにしたがい風速は大きくなる.平地においては,高さ の風速 は,高さ に設けられた風速計の値 を用い,次のように示される.
……①
(1) 高さ に設置した風速計が を示したとき,大型風車の中心高さ における風速を,常用対数表を参照し,有効数字2桁で求めよ.
表:常用対数表
B
風速を数値計算で求めるために, の近似値を次の方法で求めることにする.
……②
として,方程式 の実数解 を求める方法を考える.まず,図1-2に概形を示すように,初めに をとり,点 における関数 の接線を引く.その接線と 軸との交点の 座標を とする.このプロセスを繰り返すと交点は に近づいていく.このような逐次解法をニュートン法と呼ぶ.このようにして求めた交点の 座標からなっる数列を とする.以下では とする.
図1-2
(2) の範囲で が常に正であることを示せ.また, であることを示せ.
(3) を を用いて表せ.
(4) ニュートン法で②式の解を求める場合に,解の近似値 の誤差を と定義する.このとき,ある正の数 を用いて
……③
の関係が満されることを示せ.ここで(3)で与えられた と の関係を と表すことにする.このとき, は, のとき, の範囲にある によって
……④
と表されることを用いてもよい.
(5) を有効数字2桁で求めよ.
C
大型風車の羽根車の半径を ,羽根車の面積を とし,風車がないときの中心高さでの風速を ,空気の密度を とする.このとき,風車の出力 を以下の手順で求めよ.なお,以下の小問では羽根車の範囲で高さ方向の風速の変化は無視できるものとする.また,空気の密度は変化しないものとする.
(6) 風速が のとき,空気の単位質量あたりの運動エネルギーは で与えられる.風車の羽根車の面積 に,時間 の間に風速 で流入する空気の質量 ,および運動エネルギー を求めよ.
実際の風車の運転では,図1-3に示すように,入り口に流入する空気が減速されて流れが広がる.そのために,(6)で求めた空気の全てのエネルギーを風車の出力として得ることができない.流体力学によると,風車が得るエネルギーは入り口に流入する空気と出口で流出する空気の運動エネルギーの差で与えられる.入り口での風速を ,出口での風速を とする.このとき,風車の位置での風速は となることが知られている.
(7) と表すとき,風車の出力 を ,,, を用いて表せ.
なお, は風車の設計などによって変わるものであり,図1-3に示した流れの広がりに依存する.ここでは,風車の出力とは風から単位時間当たりに得ることのできるエネルギーを意味する.風車がない場合には,図1-4のように流れの広がりはなく,風速も変化しない.
図1-3
図1-4
(8) (7)で得られた出力 を最大にする の値を求めよ.また,そのときの出力の最大値 を求めよ.
(9) 風車の効率は,羽根車の面積 に風速 で流入する単位時間あたりのエネルギー に対する出力 の比,つまり
……⑤
と与えられる.(8)で得られた最大出力 の場合の の値を求めよ.
(10) 実際には(9)で得られた効率に加えて,粘性や機械損失のため,大型風車の効率は総合的におよそ となっている. のとき,風車半径 ,中心高さの風速 ,空気密度 の場合の出力 を有効数字2桁で求めよ.
2021.02.14記