B
質量 の物体の空気中での落下運動を考える.鉛直下向きを正とする物体の速度を とおく.物体はその速度 に比例した空気抵抗を受けると仮定すると,速度 の時間変化は関係式
……⑤
で表される.ここで, は正の値をとる のある関数で時間 によらず一定である.また, は重力加速度を表す.
(B-1) 物体を落下させた後,十分時間が経つと物体の速度 は一定値
に近づく.この理由を説明せよ.
(B-2) 質量 を変えて を測定したところ,質量 が大きいほど, の値がつねに大きくなるという単調性が観測された。次の(イ),(ロ),(ハ)の形の関数が, において,つねにこの条件を満たすかどうかを,それぞれ述べよ.
(イ),
(ロ),
(ハ),
(B-3) 式⑤を9ページの式②と比べ,本聞における物体の落下速度 を第2問Aにおける室内の汚染質の濃度 と対応させると,この2つの量の時間変化は同様の振る舞いをするととがわかる。この点に着目し,質量 の物体を,初速度 を として,空気中で落下させたときの,物体の速度の時間変化を示すグラフの概形を描け.
注)9ページの式②とは、[2]Aの式②のことである.
2021.02.09記
(B-1) について, が成立し, により, ならば ならば , ならば だから, は に近づく.
(B-2) であるから,
(イ) は常に正だから条件をみたす.
(ロ) は負の値もとりうるので条件をみたさない.
(ハ) は常に正だから条件をみたす.
(B-3) ,, と置き換えて となる.図示は略すが,単調増加で に漸近するグラフになる.