2022.03.10記
非常に考えにくい問題.何に着目するかによって難しさが変わる.
(1) が得点をするのは裏が偶数回出た後に表が出たとき, が得点をするのは裏が奇数回出た後に表が出たときである.
(a) が2対0で勝つとき:
回目が表であり, 回までに裏が 回,表が1回出てコインが にあるので, は偶数であり,裏が 回出るうちの偶数回目(0回目の含む)の裏が出た次に表が1回でるので、 回目の 通りあるから
が偶数のとき ,
が奇数のとき
となる.
(b) が2対1で勝つとき:
回目が表であり, 回までに裏が 回,表が2回出てコインが にあるので, は奇数であり,裏が 回出るうちの偶数回目(0回目の含む)の裏が出た次に表が1回でて(回目の 通り)、奇数回目の裏が出た次に表が1回でる(回目の 通り)ので, 通りあるから
が偶数のとき ,
が奇数のとき ,
となる.
以上から,
が偶数のとき ,
が奇数のとき ,
となる.
(2) , であるから, に注意して
が成立する.これを とおくと,
であるから,
となる.ここで とおくと
であるから,
となる.ここで のとき ()であるから,
で となり, となる.
つまり
()
となる.これと,()から
()
も言えるので,
となる.
同じ考え方をする類題が
2022年(令和4年)東京大学-数学(理科)[6] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
となる.過去問研究は大切.
極限計算は幾何分布と関連させて求めることができるが,幾何分布の平均と分散を覚えている人はあまりいないように思う.
確率 で表が出るコインの表が出るまでの裏の出る回数は幾何分布
()
に従い,その平均は ,分散は である.つまり とおくと,
,
,
,
が成立する.つまり,
,,
となるので,
が成立する.よって
差分方程式の話を使うと,次のようにも計算できる.
() とし, とする(だから, でもある).
シフト演算子 ,差分演算子 を用いて
,,,
が成立する.よって
が成立するので,特性方程式が で3重解, で単解をもつので
(は定数)
と表すことができる.
とすると
,,,
だから
,,,
となり,
において
,
,
,
が成立する.この連立方程式を解くと が得られるので,
が得られる.
差分方程式は離散ラプラス変換で解くこともできる.離散ラプラス変換については例えば
漸化式 (差分方程式) を z 変換 (離散的ラプ ラス変換) で解く方法
https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/77/77-7.pdf
を参照のこと.
一般項を求める必要はなく,極限だけを求めれば良いので結構楽に求まる.