[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)東京大学-数学(理科)[5]

2022.02.26記

[5] 座標空間内の点 {\rm A}(0,0,2) と点 {\rm B}(1,0,1) を結ぶ線分 \rm ABz 軸のまわりに1回転させて得られる曲面を S とする。S 上の点 \rm Pxy 平面上の点 \rm Q \rm PQ=2 を満たしながら動くとき,線分 \rm PQ の中点 \rm M が通過しうる範囲を K とする。K の体積を求めよ。

2022.02.26記
線分 \rm AB を直線 \rm AB と勘違いしていたので書き直し。あと細かいところも修正。

[解答]

Kz=k\dfrac{1}{2}\leqq k\leqq 1)の断面は
{\rm P}'(2-2k,0,2k){\rm Q}(x,y,0)\rm PQ=2)の中点の軌跡を z 軸のまわりに一回転させたものである。

つまり円周 \{x-(2-2k)\}^2+y^2=1-k^2z=k) を z 軸のまわりに一回転させたものである。

この円周で (0,0,k) への最短距離が |\sqrt{1-k^2}-(2-2k)| で,最長距離が\sqrt{1-k^2}+(2-2k) であることから,断面は半径 \sqrt{1-k^2}+(1-k) の円から、半径 |\sqrt{1-k^2}-(1-k)| の円を刳り貫いた円環面となり,その面積は
8\pi(1-k)\sqrt{1-k^2}
となる。

よって求める体積 V
V=\displaystyle\int_{1/2}^1 8\pi(1-k)\sqrt{1-k^2}dk=\displaystyle 8\pi \int_{1/2}^1 \left\{\sqrt{1-k^2}+\dfrac{1}{2}\sqrt{1-k^2}(-2k)\right\}dk
であるが
=\displaystyle \int_{1/2}^1 \sqrt{1-k^2}dk
が半径1中心角 \dfrac{\pi}{3} の扇形から直角3角形の面積を引いたものとみて
\dfrac{\pi}{6}-\dfrac{\sqrt{3}}{8}
となることに注意すると,
V=\dfrac{4}{3}\pi^2-\sqrt{3}\pi+8\pi\Bigl[\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{2}{3}(1-k^2)^{3/2}\Bigr]_{1/2}^1
=\dfrac{4}{3}\pi^2-2\sqrt{3}\pi
となる.