[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2009年(平成21年)東京大学前期-数学(理科)[4]

本問のテーマ
平面図形の回転体の体積の一般公式

2021.02.07記

平面図形の回転体の体積の一般公式

平面図形を平面に含まれない直線のまわりに回転させたときの体積を求めるテクニック.

(2022.03.16追記-ここから-)

平面図形をある直線のまわりに1回転させてできる立体の体積は,図形のある平面と回転軸のなす角度を \theta とすると,

回転軸を図形のある平面に正射影して得られる直線 \ell' のまわりに図形を回転して得られる回転体の体積の \cos\theta

回転軸上の点 \rm P に垂直な平面における平面図形の切り口である線分において \rm P からの最長距離と最短距離を与える点のうち1つをそれぞれ M,N とすると,断面積は
\pi\{{\rm PM}^2-{\rm PN}^2\}
である.

\rm P から平面図形の切り口である線分を含む直線への垂線の足 \rm H を下すと,ピタゴラスの定理により,{\rm PM}^2={\rm PH}^2+{\rm HM}^2{\rm PN}^2={\rm PH}^2+{\rm HN}^2 だから断面積は
\pi\{{\rm PM}^2-{\rm PN}^2\}=\pi\{{\rm HM}^2-{\rm HN}^2\}
となる.

回転軸を図形のある平面に,軸に垂直な方向に射影すると,\rm P\rm H にうつり(だから断面積は同じ),軸方向の長さが \dfrac{1}{\cos\theta} 倍される(厚みの倍率)ので,求める体積は\dfrac{1}{\cos\theta} 倍されるので,

図形のある平面を x 軸のまわりに回転させて得られる図形の \cos\theta

が求める体積となる,というテクニックである.

本問は,平面図形と軸に平行場合(\cos\theta=1)であり,軸を射影すると軸が円の中心を通るので,W(a)a によらず,単位球の体積の半分となる.
(2022.03.16追記-ここまで-).

[うまい解答]

(1) D_1y 軸の回りに 360^{\circ} 回転している間の D_1 の通る部分の体積を Z(a) とすると,Z(a)=2W(a) であり,Z(a) は回転軸を D_1 に正射影した直線のまわりに D_1 を回転させてできる単位球と体積が等しい.よって Z(a)=\dfrac{4\pi}{3} となり,W(a)=\dfrac{2\pi}{3}

(2) \tan\theta=\dfrac{1}{a} をみたす \theta を用いると,
W(a)\leqq V(a)\leqq W(a)\times\dfrac{\pi+2\theta}{\pi},つまり
\dfrac{2\pi}{3}\leqq V(a)\leqq \dfrac{2\pi}{3}\times\Bigl(1+2\dfrac{\theta}{\pi}\Bigr)
が成立する.a\to\infty\theta\to 0 だから,はさみうちの原理により
V(a)\to\dfrac{2\pi}{3}(a\to\infty)

大数は,断面における(1)からはみ出た部分を長方形で評価しているが,断面積におけるはみでた部分の割り合いが0に近づくことを求めさせる問題だと考えると,もっと大雑把に評価しても大丈夫である.