[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2019年(平成31年)千葉大学前期-数学[13]

2022.04.23記

[13] a は実数とする.座標平面上で連立不等式
y\geqq x^2y\leqq(2a+3)x−a(a+3)
の表す領域を D(a) とおく.いま,x 座標も y 座標も整数であるような点を格子点と呼ぶことにする.

(1) n を整数とする.このとき D(n) に含まれる格子点の個数を求めよ.

(2) 任意の実数 a について,D(a) に含まれる格子点の個数と D(a+1) に含まれる格子点の個数は等しいことを示せ.

2022.04.23記
問題[13]は医学部,理学部(数学・情報数理学科)用の問題

[解答]
(2) X=x+1Y=y+2x+1 なる変換で格子点は格子点 にうつされる.また,この変換の逆変換は
x=X-1y=Y-2X+1
となるので,逆変換により格子点は格子点にうつされる.つまり,この変換によって格子点は一対一に対応する.

この変換による y=x^2 の像は Y-2X+1=(X-1)^2,つまり Y=X^2 である.また,y\leqq(2a+3)x−a(a+3) の像は Y-2X+1\leqq(2a+3)X-2a-3−a(a+3) より Y\leqq(2a+5)X-(a+1)(a+4) となる.よって領域 D(a) は領域 D(a+1) にうつる.

この変換によって格子点は一対一に対応するので,任意の実数 a について,D(a) に含まれる格子点の個数と D(a+1) に含まれる格子点の個数は等しい.

(1) より D(0) に含まれる格子点の個数を求めれば良い.
y\geqq x^2y\leqq 3x
に含まれる格子点の数は
1+3+3+1=8
であるから,
D(n)=D(0)=8

(1) D(0) を求めるのにはピックの公式を使うまでもない.

(2) a が整数でないとき,放物線と直線の交点が格子点とはならないので,ピックの公式を使うことはできない.

2022.04.28記
やっていることは,カヴァリエリの原理のようなもの.
X_1=xY_1=y-x^2
という変換によって格子点は1対1に対応し,このとき D(a)
Y_1=(X_1-a)\bigl(X_1-(a+3)\bigr)X_1 軸で挟まれる部分の格子点の個数に等しい.

さらに X_2=X_1+1=x+1Y_2=Y_1=y-x^2
という変換によって格子点は1対1に対応し,このとき D(a)
Y_2=\bigl(X_2-(a+1))\bigl(X_2-(a+4)\bigr)X_2 軸で挟まれる部分の格子点の個数に等しい.

とまぁ、ここで止めたのが駿台の解答(その方がわかり易いかな).

そして X=X_2=x+1Y=Y_2+X_2^2=y+2x+1
という変換によって格子点は1対1に対応し,このとき D(a)D(a+1) に等しい.

となるのが上記解答.