[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2017年(平成29年)宮崎大学前期-数学(医学部)[2]

2022.04.23記

[2] 座標平面において,x 座標と y 座標がともに整数である点を格子点という.n自然数とし,連立不等式
x\geqq  y^2x + y \leqq  n(n + 1) の表す領域を D_n とする.また,D_n に含まれる格子点の個数を a_n とする.このとき,次の各問に答えよ.

(1) 領域 D_2 を座標平面上に図示し,a_2 を求めよ.

(2) 直線 x + y = n(n + 1) 上にあり,D_n に含まれる格子点の個数を求めよ.

(3) a_{n+1}−a_n を,n を用いて表せ.

(4) a_n を,n を用いて表せ.

本問のテーマ
ピックの公式


[大人の解答]
(2) 放物線と直線の交点の y 座標は -n-1,n であり,直線上では x が整数ならば y も整数となり格子点となるので,求める格子点の個数は n-(-n-1)+1=2n+2 である.

(4) (2) より D_n の放物線弧上の格子点の個数も 2n+2 個だから両端の重複を除いて D_n の周上の格子点は 4n+2 個である.ここで 放物線弧を格子点を通る折れ線に変えてできる領域を D'_n とすると,その面積は
\dfrac{(2n+1)^3}{6}-(2n+1)\cdot\dfrac{1}{6}=\dfrac{2n(n+1)(2n+1)}{3}
であるから,ピックの公式より
\dfrac{2n(n+1)(2n+1)}{3}=(a_n-4n-2)+\dfrac{4n+2}{2}-1
が成立するので,
a_n=\dfrac{2n(n+1)(2n+1)}{3}+2n+2=\dfrac{2n(n+1)(2n^2+n+3}{3}
となる.

(1) (4)より a_2=26(図示略)

(3) (4)より a_{n+1}-a_n=4n^2+8n+6

順番にやると

[解答]
(3) D_{n+1} のうち D_n に含まれない格子点の数が a_{n+1}-a_n である.
直線は x 軸方向に (n+1)(n+2)-n(n+1)=2(n+1) だけ平行移動されるので,
y 座標が -n-1\leqq y\leqq n をみたす 2n+2 個は 2(n+1) 倍され,
さらに両端 y=-n-2,n+1 の格子点が2個増えるので
a_{n+1}-a_n=(2n+2)\cdot 2(n+1)+2=4(n+1)^2+2=4n^2+8n^2+6
となる.

(4) (1)の図示の結果から a_1=8 だから,
a_n=8+\displaystyle\sum_{i=1}^{n-1} \{4(i+1)^2+2\}
=8+4\cdot\left\{\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}-1\right\}+2(n-1)
=\dfrac{2n(n+1)(2n+1)}{3}+2n+2=\dfrac{2n(n+1)(2n^2+n+3}{3}

のようになる.

結局,ピックの公式と 1/6公式を組合せると2乗和の公式が導かれることを使っている.詳細は
ピックの公式と累乗和の公式 - 球面倶楽部 零八式 mark II
参照のこと.