[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)九州大学前期-数学(III)[1]

2022.02.27記

[1] 座標空間内の5点
 {\rm O}(0, 0, 0),{\rm  A}(1, 1, 0),{\rm  B}(2, 1, 2), {\rm P}(4,0,-1),{\rm  Q}(4, 0, 5)
を考える。3点 \rm O, A, B を通る平面を \alpha とし,\vec{a}=\vec{\rm OA}\vec{b}=\vec{\rm OB} とおく。以下の問いに答えよ。

(1) ベクトル \vec{a},\vec{b} の両方に垂直であり,z 成分が正であるような,大きさが1のベクトル \vec{n} を求めよ。

(2) 平面 \alpha に関して点\rm P と対称な点 {\rm P}' の座擦を求めよ。

(3) 点 \rm R が平面 \alpha 上を動くとき,|\vec{\rm PR}|+\vec{\rm RQ}| が最小となるような点 \rm R の座標を求めよ。


2022.02.27記
\vec{n}外積を使って求めるのが大人の解答だが,外積をとるベクトルに成分「0」が含まれているのなら,以下のように求める方が間違いにくいように思う。

[解答]
(1) \vec{a}=\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix} に垂直なベクトルは \vec{a}=\begin{pmatrix} s \\ -s \\ t \end{pmatrix} の形にかくことができ,これが \vec{b} に垂直であることから
s+2t=0 となる.つまり求めるベクトルは
\vec{a}=\begin{pmatrix} -2t \\ 2t \\ t \end{pmatrix}
の形をしている.このうち,z 成分が正であるような,大きさが1のベクトルを求めると
\vec{n}=\dfrac{1}{3}\begin{pmatrix} -2 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix}
となる.

(2) \rm P から \alpha へ下した垂線の足を \rm H とすると
\vec{\rm HP}\vec{\rm OH}\vec{n} に正射影した正射影ベクトルであるから,
\vec{\rm HP}=(\vec{\rm OP}\cdot\vec{n})\vec{n}=-3\vec{n}
となる.よって
\vec{{\rm OP}'}=\vec{\rm OP}+2\vec{\rm PH}=\vec{\rm OP}+6\vec{n}=\begin{pmatrix} 0 \\ 4 \\ 1 \end{pmatrix}
となり,{\rm P}'(0,4,1) となる.

(3) \vec{\rm OP}\cdot\vec{n}=3\vec{\rm OQ}\cdot\vec{n}=1 と同符号なので,
\rm P,Q\alpha に関して同じ側にある.よって |\vec{\rm PR}|+\vec{\rm RQ}| が最小となるような点 \rm R は直線 {\rm P}'{\rm Q}\alpha の交点である.

よって,ある実数 t を用いて
\vec{\rm OR}=(1-t)\vec{{\rm OP}'}+t \vec{\rm OQ}
とかける.

\rm R\alpha 上なので \vec{\rm OR}\cdot\vec{n}=0 をみたすので,\vec{{\rm OP}'}\cdot\vec{n}=-\vec{\rm OP}\cdot\vec{n}=-3\vec{\rm OQ}\cdot\vec{n}=1 から
0=(-3)\cdot (1-t)+1\cdot t
となり,t=\dfrac{3}{4} となる.

よって \vec{\rm OR}=\begin{pmatrix} 3 \\ 1 \\ 4\end{pmatrix}
となり,{\rm R}(3,1,4) となる.

正領域・負領域の確認で内積をとっているのだから,その内積を利用すると成分計算が節約できる.