[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1970年(昭和45年)東京大学-数学(理科)[4]

2024.02.24記

[4] 図のように鉛直な側面をもった水槽が水平な床の上におかれており,水面の高さは床からa\,\mbox{cm} である.いま側面に小さな穴をあけて水を水平方向に噴出させる.

(1) 穴の位置を水面からh\,\mbox{cm} にするとき,噴流は床の上のどの点に落ちるか.

(2) 噴流が穴の真下の床上の点から最も遠くに落ちるためには,穴の位置をどこにすればよいか.

(3) 穴の位置を一鉛直線上いろいろに変えるときの,噴流の通過する範囲を求めよ.

ただし,噴出した水は水平方向には等速度運動をし,鉛直方向には加速度 g\,\mbox{cm}/秒^2 の等加速度運動をする.また水面から h\,\mbox{cm} の深さの穴から噴出する水の初速度は \sqrt{2gh}\,\mbox{cm/秒} である.

2024.02.24記

[解答]
穴から床におろした垂線の足を原点,水平方向を x 軸,鉛直方向を y 軸とする.


すると,t 秒後の噴流の位置は
x=\sqrt{2gh}ty=a-h-\dfrac{1}{2}gt^2
であるから,t を消去して
y=a-h-\dfrac{x^2}{4h}…①
が成立する.

(1) ①で y=0,x\gt 0 として x=2\sqrt{h(a-h)}(cm)

(2) (1)と AM-GM 不等式により x が最大となるのは h=\dfrac{a}{2}(cm)のとき.

(3) ①,すなわち
h^2-(a-y)h+\dfrac{x^2}{4}=0
0\leqq h\leqq a に実根をもつ条件を求めれば良い.

判別式が非負である必要から (a-y)^2\geqq x^2 であるが,0\leqq y\leqq a,x\geqq 0 により
x+y\leqq a …②が必要となる.

このとき解の公式から
h=\dfrac{(a-y)\pm\sqrt{(a-y)^2-x^2}}{2}
となるが,\sqrt{(a-y)^2-x^2}\leqq |a-y|=a-y により
小さい解は
0\leqq \dfrac{(a-y)-\sqrt{(a-y)^2-x^2}}{2}
をみたし,大きい解は
\dfrac{(a-y)+\sqrt{(a-y)^2-x^2}}{2}\leqq a-y\leqq a
をみたすので,①は必ず 0\leqq h\leqq a に実根をもつ.

以上から,求める範囲は
x+y\leqq 0x,y\geqq 0
となる.