2020.10.01記
進数.
問題文ではは正の実数とあるが,それは(1)の不等式の表現が簡単になるためである.
(1)の不等式は,(2)において が十分大きければ大丈夫という意味しかない.
そこで以下の考察では も自然数とする.このとき,
進法で考えると(その場合,各桁を「|」で区切るとする)
とする.
(1') 十分大きな に対して、
(下2桁が繰り上がって の位に影響を及ぼさない)が成立すること示せ(はほぼ明らかだが).
(2') 10進法で表したとき,1が連続して99回現れるところがあるような が存在することを示せ.
となる.
(1') であれば成立する.
もちろん正確に評価しようとすると を解くことになり,(1)と同値になる.
(2') を(1')の範囲とすると左辺と右辺では上から2桁目がで等しいので,に1が99桁並べば良い.安直には (1を99桁並べた数)とすれば良く,つまり (037を33回繰り返して並べた数)とすれば良い.その に対して(1')をみたす10の羃 を選べば題意が成立する.
(1) 中辺は であり,
が自然数であることから (∵), であるから,
となり, は任意の正の実数 に対して成立する.
は で負または0であるから,
求めるの範囲は,この2次式を0とおいた大きい解以上となる.
よって となる.
(2) (1を99桁並べた数),つまり (037を33回繰り返して並べた数)とし, をこの に対して (1)をみたす 10 の羃 とする.
このとき,(1)の左辺,右辺とも上から 1が1個,0が 個,1が個 並ぶ数となるので,中辺である A も上から 1が1個,0が 個,1が個 並ぶ数となり,題意をみたす.
なお,東京出版の10年の軌跡には誘導の乗らずに(2)を証明する方法があった.同様な解法が河合出版の72年にもあった.
それを改良したものを載せておく.どちらの解法でも触れられていないが,結局は
だから, が十分大きな数の場合, としてやれば良いということ.
とおくと からへ変化すると,の割合で増加する.
のとき,であるから,10進法で 桁の数で上 桁は「」である(上から桁目が3).
これより大きい数だと増加率は以下であるから上桁は変化しないか 1増加するかのどちらかである.だから を増やすとき,上桁はから自然数を飛び越すことなく順番に値をとり,やがて 桁になるが,その手前で上桁は となるので,上桁は から までの全ての値をとりうる.
よって, とおくことにより,上99桁に1が並ぶような298桁の数が存在する.
ちなみに、 のとき,上桁に9が並ぶ 桁の数であり,
のとき, 桁の数となる.
であり,
,
,
,…
同じようにすると,を利用して,この近辺で上桁に1が並ぶ 桁の数が得られる.
例えば, を 以下の最大の整数として,
とすると,この上99桁は1である.
[証明] とおくと,これは で単調増加であり,
とおくと,これはは無理数であるから,
つまり
が成立する.
により であり,
であるから,
が成立する.つまり
となるので, の上99桁は1である.
同じように上9桁に123456789が並ぶ28桁の数は
であるから,これを利用して
同じように上10桁に1234567890が並ぶ31桁の数は
であるから,これを利用して
が得られる.