[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1991年(平成3年)東京大学前期-数学(文科)[2]

2024.01.05記

[2] xyz 空間の点 \mbox{P}(2,0,1) と,yz 平面上の曲線 z=y^2 を考える.点 \mbox{Q} がこの曲線上を動くとき,直線 \mbox{PQ}xy 平面と出会う点 \mbox{R} のえがく図形を F とする.
xy 平面上で F を図示せよ.

本問のテーマ
カメラの幾何学(コンピュータビジョン)
射影変換での2次曲線の像

2024.01.06記
平面から平面への中心射影で2次曲線は2次曲線に移る.線形変換では放物線は放物線に移るが,射影変換では放物線が楕円や双曲線にも移ることがある.

[大人の解答]
視点が \mbox{P}(2,0,1) であるから,yz 平面の図形において平面 z=1の部分は水平線となり,水平線よりも上の部分は数式的には
xy 平面の後(x\gt 2の領域)に像を結び,水平線よりも下の部分はxy 平面の前(x\lt 2の領域)に像を結ぶ.

今,yz 平面上の放物線 z=y^2z=1 の上下に曲線をもつことから,xy 平面において曲線は2つの部分に分かれることがわかり,よって像は双曲線となることがわかる.図形の対称性からその双曲線は x 軸について対称であり,その頂点は (0,0,0) の像 (0,0,0) と視点を通り z 軸と平行な直線との交点 (2,0,0) であることがわかる.

また,z=1 との交点 (0,\pm 1,1) の像は無限遠点に移ることから,視点から見たベクトル (-2,\pm 1,0) 方向が双曲線の漸近線の方向となり,よってその双曲線の漸近線は y=\pm\dfrac{1}{2}x に平行となることがわかる.双曲線の中心が (1,0,0) であるから,双曲線の漸近線の式は y=\pm\dfrac{1}{2}(x-1) であり,よって双曲線の式は
\dfrac{(x-1)^2}{4}-y^2=Kの型となる.双曲線が原点を通ることから K=\dfrac{1}{4} となるので,求める双曲線の式は
\dfrac{(x-1)^2}{4}-y^2=\dfrac{1}{4}
となる.

よって求める図形F
(x-1)^2-4y^2=1(2,0)を除く)
となる.

(図示略)

このあたりの仕組みについては
1992年(平成4年)東京大学後期-理I・総合科目II[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
参照のこと.


[解答]
\mbox{Q}(0,y,z) のときに \mbox{R}(X,Y,0) であったとすると
-2:y:(z-1)=(X-2):Y:-1
が成立するので,
y=\dfrac{-2Y}{X-2}z-1=\dfrac{2}{X-2}z=\dfrac{X}{X-2})但し X\neq 2
が成立する.よって z=y^2 より
\dfrac{X}{X-2}=\left(\dfrac{-2Y}{X-2}\right)^2
となる.整理して
X(X-2)-4Y^2=0
つまり
(X-1)^2-4Y^2=1
となる.但しX\neq 2である.

(図示略)