[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1991年(平成3年)東京大学前期-数学(文科)[1]

2024.01.05記

[1] 関数 f(x)=x^3-2x^2-3x+4 の,区間 -\dfrac{7}{4}\leqq x\leqq 3 での最大値と最小値を求めよ.

本問のテーマ
3次関数の箱(4等分×2等分)

2024.01.06記
3次関数において,極大値や極小値と同じ高さに到達する場所はどこかは,

3次関数の箱(4等分×2等分)

を考えればわかるので,その場所と端点を比較すれば,x 座標の比較だけで最大・最小をとる x の値がわかる.

平方根の値を評価するために2乗計算を行うが,
n^2+(2n+1)=(n+1)^2n^2=(n+1)^2-(2n+1) は当たり前の式だが,
29^2=900-59=841
のように計算する方法も知っておくと良い.

[解答]
f'(x)=3x^2-4x-3=0 を解くと x=\dfrac{2\pm\sqrt{13}}{3} が成立し,
f\left(\dfrac{2\pm\sqrt{13}}{3}\right)=f\left(\dfrac{2\mp2\sqrt{13}}{3}\right)(複号同順)
が成立する.

\dfrac{2-2\sqrt{13}}{3}-\left(-\dfrac{7}{4}\right)=\dfrac{29-8\sqrt{13}}{12} であり,29^2=8418^2\cdot 13=8\cdot 104=832 より
-\dfrac{7}{4}\lt \dfrac{2-2\sqrt{13}}{3} となり,f(x) の極小値よりも f\left(-\dfrac{7}{4}\right) の方が小さい.

\dfrac{2+2\sqrt{13}}{3}-3=\dfrac{2\sqrt{13}-7}{3} であり,2^2\cdot 13=527^2=49 より
3\lt \dfrac{2+2\sqrt{13}}{3} となり,f(x) の極大値よりも f(3) の方が小さい.

よって,求める最大値は極大値 f\left(\dfrac{2-\sqrt{13}}{3}\right) であり,最小値は f\left(-\dfrac{7}{4}\right)=-\dfrac{143}{64} である.

f(x)f'(x) で割った余りは -\dfrac{26}{9}x+\dfrac{10}{3} だから
f\left(\dfrac{2-\sqrt{13}}{3}\right)=-\dfrac{26}{9}\cdot\dfrac{2-\sqrt{13}}{3}+\dfrac{10}{3}=\dfrac{38+26\sqrt{13}}{27}
となる.

以上から,最大値は \dfrac{38+26\sqrt{13}}{27},最小値は -\dfrac{143}{64} である.