[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1972年(昭和47年)東京大学-数学(理科)[1]

[1] 空間に座標系が定められていて,z 軸上に 2\rm A(0,0,6)\rm B(0,0,20) が与えられている.xy 平面上の点 {\rm P}(x,y,0)で,0\leqq x\leqq 150\leqq y\leqq 15\angle{\rm APB}\geqq 30^{\circ} を満たすものの全体が作る図形の面積を求めよ.

2021.10.09記

[解答]
xz 平面 x\geqq 0 において,\angle{\rm APB}\geqq 30^{\circ} を満たす領域は,円周角の定理を利用すると,\triangle\rm ABC が正三角形となる点 {\rm C}(7\sqrt{3},13) を中心とし,半径が14の円の周または内部となる.つまり,
(x-7\sqrt{3})^2+(y-13)^2\leqq 14^2
となる.よって x 軸上で条件をみたす点は (x-7\sqrt{3})^2\leqq 14^2-13^2 を整理して 4\sqrt{3}\leqq x \leqq 10\sqrt{3} となる.

よって求める点 \rm P の領域は,この線分を xy 平面上で原点中心に一回転させた
48\leqq x^2+y^2\leqq 300
のうち,与えられた条件 0\leqq x\leqq 150\leqq y\leqq 15 をみたす部分である.

この領域を図示することにより(図略),求める面積は
\dfrac{1}{4}\cdot 300\pi - \dfrac{1}{4}\cdot 48\pi - \left(\dfrac{1}{6}\cdot 300\pi - 15\cdot 5\sqrt{3}\right)=13\pi+75\sqrt{3}
となる.

ベクトルを用いて機械的に計算すると次のようになる.

[解答]

\dfrac{\vec{\rm AP}\cdot\vec{\rm BP}}{|\vec{\rm AP}|\, |\vec{\rm BP}|}\leqq\dfrac{\sqrt{3}}{2} により,\dfrac{x^2+y^2+120}{\sqrt{x^2+y^2+36}\,\sqrt{x^2+y^2+400}}\leqq\dfrac{\sqrt{3}}{2} が成立する.

x,y\geqq 0 より両辺は正だから2乗しても同値関係は変わらないので,
\dfrac{(x^2+y^2+120)^2}{(x^2+y^2+36)(x^2+y^2+400)}\leqq\dfrac{3}{4}
が成立する.整理して
4(x^2+y^2+120)^2\leqq 3(x^2+y^2+36)(x^2+y^2+400)となり,
 (x^2+y^2)^2 -348(x^2+y^2)+14400 \leqq  0,つまり  (x^2+y^2-48)(x^2+y^2-300) \leqq  0となるので,
48\leqq x^2+y^2 \leqq 300
となる.

よって求める点 \rm P の領域は
48\leqq x^2+y^2\leqq 3000\leqq x\leqq 150\leqq y\leqq 15
となる.

この領域を図示することにより(図略),求める面積は
\dfrac{1}{4}\cdot 300\pi - \dfrac{1}{4}\cdot 48\pi - \left(\dfrac{1}{6}\cdot 300\pi - 15\cdot 5\sqrt{3}\right)=13\pi+75\sqrt{3}
となる.

なお, t^2 -348t+14400因数分解は, t^2 -2^2\cdot 3\cdot 29t+2^6\cdot 3^2\cdot 5^2素因数分解し,s=2^2\cdot 3 とおくと
t^2-29ts+100s^2 とより単純な因数分解に帰着でき,(t-4s)(t-25s)=(t-48)(t-300)となる.