[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2000年(平成12年)東京大学前期-数学(理科)[4]

2024.02.12記

[4] 座標平面上を運動する3点 \mbox{P}\mbox{Q}\mbox{R} があり,時刻 t における座標が次で与えられている.
\mbox{P}:x=\cos t,y=\sin t
\mbox{Q}:x=1-vt,y=\dfrac{\sqrt{3}}{2}
\mbox{R}:x=1-vt,y=1

ただし,v は正の定数である.この運動において,以下のそれぞれの場合に v のとりうる値の範囲を求めよ.

(1) 点 \mbox{P} と線分 \mbox{QR} が時刻 0 から 2\pi までの間ではぶつからない.

(2) 点 \mbox{P} と線分 \mbox{QR} がただ一度だけぶつかる.

2021.01.13記

[解答]
{\rm P} と線分 \rm QR がぶつかる必要十分条件は,
 1-vt=\cos t かつ \dfrac{\sqrt{3}}{2}\leqq \sin t\leqq 1 をみたす t が存在すること,すなわち,
 1-vt=\cos t かつ -\dfrac{1}{2}\leqq \cos t\leqq \dfrac{1}{2} かつ 「ある整数 m を用いて 2m\pi\leqq t\leqq (2m+1)\pi とかける」ような t が存在することである.

(1)  1-vt=\cos t かつ -\dfrac{1}{2}\leqq \cos t\leqq \dfrac{1}{2} かつ 0\leqq t\leqq\pi となるような t が存在しない条件を求めれば良い.

これは  1-vt=\cos t\dfrac{\pi}{3}\leqq t\leqq \dfrac{2\pi}{3} に解をもたない条件と同値であり,y=-vt+1y=\cos t\dfrac{\pi}{3}\leqq t\leqq \dfrac{2\pi}{3} で交わらない条件と同値である.

よってグラフから 0\lt v\lt \dfrac{3}{2\pi} または \dfrac{9}{4\pi}\lt v

(2) (1) より 0\leqq t\leqq 2\pi で交わる条件は  4\leqq \dfrac{9}{\pi v} \leqq 6 である.

一般に 2m\pi\leqq t\leqq (2m+1)\pi で交わる条件は 12m+4\leqq\dfrac{9}{\pi v} \leqq 36m+6 である.

区間 I_m=[12m+4,36m+6]I_{m+1}=[12m+16,36m+42] I_{m+2}=[12m+28,36m+78] について,
m\geqq 1 のとき,12m+4\lt 12m+28 \lt 36m+6\lt 36m+78 だから,
I_m\cup I_{m+2}=[12m+4,36m+78]\supset I_{m+1}
が成立する.

よって,m\geqq 2 のとき,I_m に含まれる点は2つ以上の区間に含まれることになり,つまり 28 以上の数は必ず2つ以上の区間に含まれる.

よってI_0[[4,6],I_1=[16,42] において28 未満となる範囲を求めれば良く,それは [4,6],[16,28) である.

よって,4\leqq\dfrac{9}{\pi v}\leqq 6,16\leqq\dfrac{9}{\pi v}\lt 28 となり,
\dfrac{9}{28\pi}\lt v\leqq\dfrac{9}{16\pi},\dfrac{3}{2\pi}\leqq v\leqq \dfrac{9}{4\pi}
となる.