[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2001年(平成13年)東京大学前期-数学(理科)[4]

2024.02.12記

[4] 複素数平面上の点 a_1a_2,…,a_n,… を
\left\{
\begin{array}{l}
a_1=1, \quad a_2=i, \\
a_{n+2}=a_{n+1}+a_n 
\quad(n=1,2,…)\end{array}\right.
により定め,b_n=\dfrac{a_{n+1}}{a_n}n=12,…)とおく.ただし,i虚数単位である.

(1) 3点 b_1b_2b_3 を通る円 C の中心と半径を求めよ.

(2) すべての点 b_nn=12,…)は円 C の周上にあることを示せ.

本問のテーマ
メビウス変換(一次分数変換)

2020.09.04記
一次分数変換 f(z)=1+\dfrac{1}{z} によって,円 \Bigl|z-\dfrac{1}{2}\Bigr|=\dfrac{\sqrt{5}}{2} が不動という話.
複素平面z\mapsto \dfrac{1}{\bar{z}} は単位円に関する反転。

2021.01.17記

[解答]
(1) a_{n+2}=a_{n+1}+a_na_{n+1} で割ると b_{n+1}=1+\dfrac{1}{b_n} が成立する.
a_1=1,a_2=i,a_3=1+i,a_4=1+2i より b_1=i,b_2=1-i,b_3=\dfrac{3+i}{2} となる.

求める円の中心を p+qi,半径を r とおくと,
r^2=p^2+(q-1)^2=(p-1)^2+(q+1)^2=\Bigl(p-\dfrac{3}{2}\Bigr)^2+\Bigl(q-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2
となる.第2項と第3項より 2p-4q=1,第3項と第4項より 3p-q = \dfrac{3}{2} だから,p=\dfrac{1}{2},q=0 となり,r^2=\dfrac{5}{2} となる.

よって中心は \dfrac{1}{2},半径は \dfrac{\sqrt{5}}{2} となる.

(2) 変換 w=1+\dfrac{1}{z} による C:\Bigl|z-\dfrac{1}{2}\Bigr|=\dfrac{5}{4}\dfrac{1-\sqrt{5}}{2},\dfrac{1+\sqrt{5}}{2} を直径とする円)の像を求める.

u=\dfrac{1}{z}w=u+1 の二段階で変換する.

u=\dfrac{1}{z} は単位円に関する反転と実軸対称移動だから, u\dfrac{2}{1-\sqrt{5}},\dfrac{2}{1+\sqrt{5}} を直径とする円,つまり \dfrac{-1-\sqrt{5}}{2},\dfrac{\sqrt{5}-1}{2} を直径とする円を描く.

w=u+11 だけ平行移動するので,w\dfrac{1-\sqrt{5}}{2},\dfrac{\sqrt{5}+1}{2} を直径とする円を描くので,これは C に一致する.

よって,b_nC 上のとき,b_{n+1}C 上にあるので,(1) とあわせて,任意の自然数 n について,b_nC 上にある.