[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2010年(平成22年)東京大学前期-数学(理科)[5]


2021.02.10記
相対運動を考える.

[うまい解答]

m=1,2 のとき \rm P=Q または \rm Q=R となって不適であるから,3\leqq m\leqq 10 である.

時刻 t のおける \rm Q を基準とした \rm P,R偏角(m-1)t,-3t であるから,\rm Q からみた \rm P の相対速度は \rm Q からみた \rm R の相対速度の \dfrac{m-1}{3}\in \Bigl[\dfrac{2}{3},3\Bigr] 倍である.

\triangle\rm PQR が直角二等辺三角形になるためには,1周が4直角であることから,相対速度の比が差が4の倍数の奇数比となることが必要であり,\dfrac{m-1}{3}\in \Bigl[\dfrac{2}{3},3\Bigr] で題意をみたすのは,\dfrac{3}{3}=\dfrac{1}{1},\dfrac{7}{3} のみである.よって m=4,8

(i) m=4 のとき,相対速度が同じであるから,\rm R\rm Q を基準とした偏角0から6\pi)が \dfrac{\pi}{2} の奇数倍となれば良いので t=\dfrac{2k+1}{6}\pi(k=0,1,2,3,4,5)

(i) m=8 のとき,相対速度が \dfrac{7}{3} 倍であるから,\rm R\rm Q を基準とした偏角0から6\pi)が \dfrac{3\pi}{2} の奇数倍となれば良いので t=\dfrac{2k+1}{2}\pi(k=0,1)
となる.

よって (m,t)=\Bigl(4,\dfrac{2k+1}{6}\pi\Bigr)(k=0,1,2,3,4,5) または (m,t)=\Bigl(8,\dfrac{2k+1}{2}\pi\Bigr)(k=0,1)

[解答]

時刻 t のおける \rm Q を基準とした \rm P,R偏角 (m-1)t,-3t について,(m-1)t=\dfrac{2a+1}{2}\pi3t=\dfrac{2b+1}{2}\pi となる正の整数 a,ba,bの偶奇は同じ) が存在すれば良い.

0\leqq t=\dfrac{2b+1}{6}\pi \leqq 2\pi により b=0,1,2,3,4,5 であり
(m-1)(2b+1)=3(2a+1)(1\leqq m\leqq 10)
となる.

b=0 のとき m-1=3(2a+1) から (m,a)=(4,0)
b=1 のとき m-1=2a+1 から (m,a)=(4,1),(8,3)
b=2 のとき 5(m-1)=3(2a+1) から (m,a)=(4,2)
b=3 のとき 7(m-1)=3(2a+1) から (m,a)=(4,3)
b=4 のとき 3(m-1)=2a+1 から (m,a)=(4,4),(8,10)
b=5 のとき 11(m-1)=3(2a+1) から (m,a)=(4,5)
の8通りが題意をみたす.

よって (m,t)=\Bigl(4,\dfrac{2k+1}{6}\pi\Bigr)(k=0,1,2,3,4,5) または (m,t)=\Bigl(8,\dfrac{2k+1}{2}\pi\Bigr)(k=0,1)

[解答]

(途中から)

(m-1)(2b+1)=3(2a+1) により m(2b+1)=4(a+1)+2(a+b)\equiv 0(\mbox{mod}\,4) であるから,m=4,8 である.

m=4 のとき a=b から (m,a,b)=(4,k,k)(k=0,1,2,3,4,5)
m=8 のとき a=\dfrac{7b+2}{3} から (m,a,b)=(8,3,3k+1)(k=0,1)

よって (m,t)=\Bigl(4,\dfrac{2k+1}{6}\pi\Bigr)(k=0,1,2,3,4,5) または (m,t)=\Bigl(8,\dfrac{2k+1}{2}\pi\Bigr)(k=0,1)