[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2012年(平成24年)東京大学前期-数学(理科)[1]

2022.03.14記

[解答]

{\rm O}(0,0){\rm A}(0,1) とする.
\ell:y=(\tan\theta)x とおき,\ellx=\dfrac{\sqrt{2}}{3} および x^2+(y-1)^2=1 との交点を {\rm P}\rm Q とおくと,\angle{\rm AOP}=\dfrac{\pi}{2}-\theta に注意して
{\rm OP}=2\cos\angle{\rm AOP}=2\sin\theta{\rm OQ}=\dfrac{\sqrt{2}}{3\cos\theta}
が成立する.よって
L={\rm OP}-{\rm OQ}=2\sin\theta-\dfrac{\sqrt{2}}{3\cos\theta}:=L(\theta)
となる.ここで,\ellD が異なる2点で交わる \theta の範囲は  {\rm OP}\gt {\rm OQ},つまり L(\theta)\gt 0 となる \theta 範囲と同値であるから,L(\theta) の増減表から L(\theta) が正となる範囲内で最大値を求めれば良い(だから普通に増減表を書いて最大値を求めて,それが正の値であれば良い).

L'(\theta)=\dfrac{6\cos^3\theta-\sqrt{2}\sin\theta}{3\cos^2\theta}
により L'(\theta)=0 となるのは 6\cos^3\theta-\sqrt{2}\sin\theta=0 のとき,つまり
\tan\theta(1+\tan^2\theta)=3\sqrt{2} のときであり,
\tan\theta=\sqrt{2}tt\gt0) とおくと 2t^3+t=3 となり,左辺が単調増加となることから t=1に限る.つまり \tan\theta=\dfrac{1}{\sqrt{2}} となり,L'(\theta) はこの前後で符号を正から負に変える.

よって L(\theta) の増減表は,L(\theta)=0 となる \theta\alpha,\beta(\alpha\lt\beta)とすると

\theta 0 \cdots \alpha \cdots \tan\theta=\dfrac{1}{\sqrt{2}} \cdots \beta \cdots \dfrac{\pi}{2}
L' + + + 0 - - -
L \nearrow 0 \nearrow 最大 \searrow 0 \searrow -\infty
D と2点で交わる × × × × × ×

のようになるので,D と2点で交わる範囲内で L\tan\theta=\dfrac{1}{\sqrt{2}} のときに最大値をとり,その最大値は \cos\theta=\dfrac{1}{\sqrt{3}}\sin\theta=\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}} により
L=\dfrac{2\sqrt{2}}{\sqrt{3}}-\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\dfrac{\sqrt{6}}{3}
となる.