[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2012年(平成24年)東京大学前期-数学(理科)[2]

2022.03.14記
十分時間が経ったら,下向きの正三角形の部屋にいる確率は等しくなり q_{2N}\to\dfrac{1}{3}
に収束すると予想できるだろう.

[解答]

n 秒後に球が部屋 \rm Q にある確率を q_n とおく.

奇数秒後には上向きの正三角形の部屋に,偶数秒後には下向きの正三角形の部屋にいるので,
n が奇数のとき q_n=0 である.

n が偶数のとき,n=2N とおくと,下向きの正三角形の部屋にいるときに2秒後に隣りの部屋に移動する確率は2つの部屋それぞれ \dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{6} であり,自分の部屋に戻ってくる確率は 1-2\cdot\dfrac{1}{6}=\dfrac{2}{3} である.

よって
q_{2N+2}=\dfrac{2}{3}q_{2N}+\dfrac{1}{6}(1-q_{2N})=\dfrac{1}{2}q_{2N}+\dfrac{1}{6}
つまり,q_0=0 に注意すると,
q_{2N+2}-\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{2}\left(q_{2N}-\dfrac{1}{3}\right)
=\dfrac{1}{2^N}\left(q_{0}-\dfrac{1}{3}\right)=-\dfrac{1}{3\cdot 2^N}
となる.

以上から

n が奇数のとき q_n=0
n が偶数のとき q_n=\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{3\cdot 2^{n/2}}

となる.