[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1964年(昭和39年)東京大学-数学(文科)[5]

2022.04.23記

[5] 曲線 y=ax^3+bx^2+cx+da\neq 0)と y 軸との交点を {\rm A} とする.この曲線上の点 {\rm P}(x,y) における曲線の接線と y 軸との交点を {\rm Q} とするとき,\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{{{\rm AQ}}^2}{{{\rm AP}}^2}\displaystyle\lim_{x\to+\infty}\dfrac{{{\rm AQ}}^2}{{{\rm AP}}^2}を求めよ.

2022.04.25記
具体的に計算する方が簡単だが,敢えて理系の範囲でなるべく一般的に解いておく.

[解答] f(x)=ax^3+bx^2+cx+d とおく.{\rm P}(t,f(t)) とすると
{\rm A}(0,f(0)){\rm Q}(f(t)-tf'(t))
であるから
{\rm AP}^2=t^2+\{f(t)-f(0)\}^2{\rm AQ}^2=\{f(t)-tf'(t)-f(0)\}^2
となり,
\dfrac{{\rm AQ}^2}{{\rm AP}^2}=\dfrac{\{f(t)-tf'(t)-f(0)\}^2}{t^2+\{f(t)-f(0)\}^2}
となる.

平均値の定理により f(t)-f(0)=tf'(c) なる c\in(0,t) が存在するので,
\dfrac{{\rm AQ}^2}{{\rm AP}^2}=\dfrac{\{f'(t)-f'(c)\}^2}{1+\{f'(c)\}^2}
となり,t\to 0
\dfrac{{\rm AQ}^2}{{\rm AP}^2}\to \dfrac{0}{1+\{f'(0)\}^2}=0
となる.

またt\to +\infty
\dfrac{{\rm AQ}^2}{{\rm AP}^2}=\dfrac{\{f(t)-tf'(t)\}^2+(t\mbox{の5次以下})}{\{f(t)\}^2+(t\mbox{の5次以下})}
=\dfrac{4a^2t^6+(t\mbox{の5次以下})}{a^2t^6+(t\mbox{の5次以下})}
\to 4
となる.