[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1952年(昭和28年)東京大学-数学(幾何)[1]

[1] (i) \angle\rm AOB を平面上の角,\rm P をその平面上の任意の点とする。直線 \rm OA に関する \rm P の対称点を \rm P' とし,直線 \rm OB に関する \rm P' の対称点を \rm P'' とすれば,\rm P''\rm P\rm O の周りに 2\angle\rm AOB 回転した点と一致することを証明せよ.

(ii) \triangle\rm ABC の平面上の任意の点を \rm P とする。その平面上で \rm P を図のように \rm B のまわりに 2\angle\rm CBA 回転し,次に \rm A のまわりに 2\angle\rm BAC 回転し,さらに \rm C のまわりに 2\angle\rm ACB 回転すれば最後の位置はどこになるか.
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(ii) の問題文は少々変であるが、2種類の文献が同じ文章だったので、そのまま記載している。

2020.03.17記

(ii) の問題文は少々変であるが、2種類の文献が同じ文章だったので、そのまま記載している。

(i) \rm Pが原点\rm Oのときは\rm P''=Oより題意をみたす。

それ以外のとき,\rm A\rm B\rm P偏角\alpha\beta\thetaとすると、\rm P'偏角\alpha-(\theta-\alpha)=2\alpha-\thetaであり、\rm P''偏角2\beta-(2\alpha-\theta)=\theta+2(\beta-\alpha)であるから,\rm P\rm O の周りに 2\angle\rm AOB 回転した点と一致する。

(ii) (i) により,点\rm Pを直線 \rm BC\rm BA に関して対称移動させ,次に直線 \rm AB\rm AC に関して対称移動させ,さらに直線 \rm CA\rm CB に関して対称移動させた位置となる。同じ直線に関する対称移動を2回続けて行なうと元に戻ることに注意すると、最後の位置は最初の位置と一致する。

2020.09.28記
本問から,\rm B のまわりに 2\angle\rm CBA 回転と \rm A のまわりに 2\angle\rm BAC 回転の合成変換が,\rm C のまわりに -2\angle\rm ACB 回転であることがわかる.

つまり,\rm B 中心 \beta 回転と \rm A 中心\alpha 回転の合成変換は,\alpha+\beta2\pi の整数倍でなければ,ある点 \rm C 中心 \alpha+\beta 回転となることがわかる.\rm C の場所は \angle\rm BCA=\pi-\dfrac{\alpha+\beta}{2} をみたす点のうちの1つである.かった。