[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1957年(昭和32年)東京大学-数学(解析II)[2]

2022.02.13記

[2] 水を満たした半径r の球状の容器の最下端に小さな穴をあける.水が流れ始めた時刻を 0 として時刻 0 から時刻 t までに,この穴を通って流出した水の量を f(t),時刻 t における穴から水面までの高さを y としたとき,f(t)導関数 f′(t)y との間に
f′(t)=\alpha\sqrt{y}\alphaは正の定数)
という関係があると仮定する(ただし,水面はつねに水平に保たれているものとする).水面の降下する速さが最小となるのは,y がどのような値をとるときであるか,また水が流れ始めてからこのときまでに要する時間を求めよ.

2022.02.18記

[解答]
f(t)=\pi\displaystyle \int_{y}^{2r} x(2r-x) dx
であるから,
f'(t)=\dfrac{df}{dy}\cdot\dfrac{dy}{dt}=-\pi y(2r-y)\cdot \dfrac{dy}{dt}
となり,微分方程式
-\pi y(2r-y) \cdot \dfrac{dy}{dt}=\alpha\sqrt{y}
が得られる.
\dfrac{dy}{dt}=-\dfrac{\alpha}{\pi \sqrt{y}(2r-y)}
の絶対値が最小となるのは,
\sqrt{y}(2r-y)
が最大となるときで,\sqrt{y}=u とおくと,
g(u)=2ru-u^30\lt u\lt \sqrt{2r} における最大値は
u=\sqrt{\dfrac{2r}{3}} のときだから,y=\dfrac{2r}{3} のとき。

一方,
-\pi (2ry^{1/2}-y^{3/2})dy=\alpha dt
から積分定数C を用いて
-\pi\left\{\dfrac{4r}{3}y^{3/2}-\dfrac{2}{5}y^{5/2}+C \right\}=\alpha t
となる.t=0y=2r だから
-\pi\left\{\dfrac{4r}{3}y^{3/2}-\dfrac{2}{5}y^{5/2}-\dfrac{16\sqrt{2}}{15}r^{5/2}\right\}=\alpha t
となるので,y=\dfrac{2r}{3} のとき
t=\dfrac{\pi}{\alpha}\left(\dfrac{16\sqrt{2}}{15}-\dfrac{32\sqrt{2}}{45\sqrt{3}}\right)r^{5/2}
となる.