[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1978年(昭和53年)東京大学-数学(文科)[4]

2023.08.18記

[4] xy 平面で点 \mbox{P}(-3,6) を通り,曲線 y=x^3-5x^2+x+9 ……(1) に接する直線のうち,接点の x 座標が x\geqq 0 をみたすものを \mbox{PQ}\mbox{PR} とする.ただしこれらの直線は点 \mbox{Q}\mbox{R} において曲線(1)に接するものとする.このとき曲線(1)の点 \mbox{Q} から点 \mbox{R} までの部分と,線分 \mbox{PQ},線分 \mbox{PR} で囲まれた領域の面積を求めよ.

本問のテーマ
yの差」公式

2023.08.18記
まずは普通の解き方

[解答]
y=x^3-5x^2+x+9x=t における接線の方程式は
y=(3t^2-10t+1)(x-t)+t^3-5t^2+t+9
であり,これが (-3,6) を通るので
6=(3t^2-10t+1)(-3-t)+t^3-5t^2+t+9
が成立する.整理して
(t+5)t(t-3)=0
となるので接点の x 座標が0以上のものは t=0,3 となる.
よって2つの接線は y=x+9y=-2x であり,接点は(どちらを\mbox{Q}としても良いので)
\mbox{Q}(0,9)\mbox{R}(3,-6) となる.


よって求める面積は
\triangle\mbox{OPQ}+\displaystyle\int_0^3(x^3-5x^2+3x+9)dx
=\dfrac{27}{2}+\dfrac{63}{4}=\dfrac{117}{4}

yの差」公式

数学ショートプログラムの p.82-89 に詳細がある.本問に必要な部分だと

y=f(x)=ax^3+\cdots(p,q) を通る直線 y=l(x)x 座標が \alpha,\beta,\gamma なる点(異なる3点でなくても良い)で交わるとき,
f(x)-l(x)=a(x-\alpha)(x-=\beta)(x-\gamma)
因数分解できるので,x=p における y 座標の差 f(p)-l(p)
f(p)-q=a(p-\alpha)(p-\beta)(p-\gamma)
x座標の差の積(にaを乗じたもの)となる,

というものである.

[別解]
(-3,6) を通る直線y=l(x)y=f(x)=x^3-5x^2+x+9x=t で接するとき,
f(x)-l(x)=(x-t)^2(x-u)
因数分解できる.x^2 の係数から 5-2t+u=5 だから
f(x)-l(x)=(x-t)^2(x-5+2t)
が成立する.ここで x=-3 を代入すると,f(-3)=-66l(-3)=6 により
-72=(-3-t)^2(2t-8)
が成立する.整理して
(t+5)t(t-3)=0
となる(以下[解答]と同じ).