[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1990年(平成2年)東京大学前期-数学(文科)[2]

2024.01.04記

[2] abc を整数,pqrp\lt 0\lt q\lt 1\lt r\lt 2 をみたす実数とする.
関数 f(x)=x^4+ax^3+bx^2+c が次の条件(i),(ii) をみたすように abcpqr を定めよ.

(1) f(x)=04 個の相異なる実数解をもつ.

(2) 関数 f(x)x=pqr において極値をとる.

2021.01.31記

[解答]
条件より,f(p)\lt 0f(q)\gt 0f(r)\lt 0 となり,
f'(0)=b \gt 0f'(1)=4+3a+b\lt 0f'(2)=32+12a+b\gt 0
が成立する.よって
0\lt bb\lt -3a-4-12a-32\lt b
となるが,a,b が整数より
1\leqq bb\leqq -3a-5-12a-31\leqq b
となる.このような b が存在するためには,a について
1\leqq -3a-5-12a-31\leqq -3a-5
の両方が成立する必要があるので,-\dfrac{26}{9}\leqq a\leqq -2 であるが,a は整数により a=-2 である.このとき,1\leqq bb\leqq 1-7\leqq b から b=-1 である.

よって,f(x)=x^4-2x^3+x+c となる.このとき f'(x)=(2x-1)(2x^2-2x-1) により,
p=\dfrac{1-\sqrt{3}}{2}q=\dfrac{1}{2}r=\dfrac{1+\sqrt{3}}{2}
となる.

f(1/2)=\dfrac{5}{16}+c\gt 0 である.

一方,f(x)=\dfrac{1}{4}(2x^2-2x-1)^2-\dfrac{1}{4}+c より f(p)=f(r)=-\dfrac{1}{4}+c\lt 0 である.

よって -\dfrac{5}{16}\lt c\lt \dfrac{1}{4} となり,c=0 である.