[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1990年(平成2年)東京大学前期-数学(理科)[5]

2019.02.21記

[5] 円 x^2+y^2=1C_0,だ円 \dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1a\gt 0b\gt 0)を C_1 とする.C_1 上のどんな点 \mbox{P} に対しても,\mbox{P} を頂点にもち C_0 に外接して C_1 に内接する平行四辺形が存在するための必要十分条件ab で表せ.

本問のテーマ
ポンスレの閉形定理(Poncelet's theorem)

2019.02.21記
解説:Poncelet's theorem である。直交を表現して拘束条件を作るのは、楕円の準円の場合と同じ。

2021.01.30記

[解答]
円外の点から円に引いた2接線の長さが等しいので,
円に外接する平行四辺形の4辺の長さは p+q,q+r,r+s,s+p の形をしており,
p+q=r+s,q+r=s+p から p=r,q=s となるので,円に外接する平行四辺形は菱形であり,対角線は直交する.

このとき,菱形の {\rm P}(r_1\cos\theta,r_1\sin\theta) の隣りの頂点を {\rm Q}(-r_2\sin\theta,r_2\cos\theta) とし,\rm O から \rm PQ に下した垂線の足を {\rm H} とすると,\rm OP\cdot OQ=OH\cdot PQ から r_1^2r_2^2=r_1^2+r_2^2,つまり,\dfrac{1}{r_1^2}+\dfrac{1}{r_2^2}=1 が成立する.

\rm P,Q が楕円上の点により,\dfrac{\cos^2\theta}{a^2}+\dfrac{\sin^2\theta}{b^2}=\dfrac{1}{r_1^2}\dfrac{\sin^2\theta}{a^2}+\dfrac{\cos^2\theta}{b^2}=\dfrac{1}{r_2^2} であるから,辺々足して \dfrac{1}{a^2}+\dfrac{1}{b^2}=\dfrac{1}{r_1^2}+\dfrac{1}{r_2^2}=1

楕円を円に変換すると,

楕円 a^2x^2+b^2y^2=1a>0,b>0)を C_0,円 x^2+y^2=1C_1 とする.C_1 上のどんな点 P に対しても,P を頂点にもち C_0 に外接して C_1 に内接する平行四辺形が存在するための必要十分条件a,b で表せ.

を示せば良いことになる.

[大人の解答]
楕円 a^2x^2+b^2y^2=1a>0,b>0)を C_0',円 x^2+y^2=1C_1' とする.C_1' 上のどんな点 P に対しても,P を頂点にもち C_0' に外接して C_1' に内接する平行四辺形が存在するための必要十分条件a,b で表せ,という問題を解けば良い.

円に内接する平行四辺形は,2つの対角線の長さが円の直径となる長方形であるから,楕円 C_0' に外接する長方形の頂点を考えれば良いが,その頂点は C_0'の準円 x^2+y^2=\dfrac{1}{a^2}+\dfrac{1}{b^2} 上になければならない.そしてC_1' の中心,C_0' の準円の中心はともに原点であるから,C_1'C_0' の準円に一致することが必要であり,このとき,準円上の点から引いた2接線は必ず直交するから十分である.

よって求める必要十分条件\dfrac{1}{a^2}+\dfrac{1}{b^2}=1