[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1991年(平成3年)東京大学前期-数学(理科)[5]

2024.01.04記

[5] xy 平面上,x 座標,y 座標がともに整数であるような点(m,n) を格子点とよぶ.
各格子点を中心として半径 r の円がえがかれており,傾き \dfrac{2}{5} の任意の直線はこれらの円のどれかと共有点をもつという.このような性質をもつ実数 r の最小値を求めよ.

本問のテーマ
ax+by=ka,bは整数) の整数解

2024.01.06記

[解答]
直線の方程式を 2x-5y=k とおくとき,格子点 (m,n) と直線の距離は
\dfrac{|2m-5n-k|}{\sqrt{29}}
であり, 2,5は互いに素であるから 2m-5n は任意の整数値をとりうることに注意すると,k に一番近い整数を N としたときに 2m-5n=N を満たす格子点 (m,n) が直線との距離を最小にする格子点となる.

このとき,kk に一番近い整数 N との差は \dfrac{1}{2} 以下,つまり |N-k|\leqq\dfrac{1}{2} であることから,直線 2x-5y=k と格子点との距離の最小値 \dfrac{|N-k|}{\sqrt{29}} が最大となるのは |N-k|=\dfrac{1}{2}2kが奇数のとき) の \dfrac{1}{2\sqrt{29}} であり,これが r の最小値となる.