[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1995年(平成7年)東京大学前期-数学(理科)[4]

2024.01.13記

[4] N を正の整数とする.N の正の約数 n に対し f(n)=n+\dfrac{N}{n} とおく.このとき,次の各 N に対して f(n) の最小値を求めよ.

(1) N=2^k,ただし k は正の整数

(2) N=7 \, !

本問のテーマ
正の整数の昇順に並べて両端から組み合わせると積はもとの整数になる

2020.09.25記
N の約数の大きい方からm 番目の約数と小さい方から m 番目の約数の積は N で一定だから,和が最小となるのは,\sqrt{N}に一番近い組の和となる.そして

f(n)=(Nの約数の中央値の2倍)

となる.だから何なの?

[解答]
f(n)n が実数だと思うと n=\sqrt{N} で極小となることと,N の正の約数の大きい方からm 番目の約数と小さい方から m 番目の約数の積は N で一定となることから,f(n) が最小となるのは,
n,\dfrac{N}{n}N の正の約数のうち \sqrt{N}に一番近いペア(Nが正の約数の個数が奇数となる平方数のときは自分自身がペア)の和となり,それは

f(n)=(Nの正の約数の中央値の2倍)
もしくは
f(n)=\left\{\begin{array}{ll} 2\sqrt{N} & (Nが平方数の場合) \\ \sqrt{N}の前後の約数の和 & (Nが平方数でない場合)\end{array}\right.
となる.

(1) (i) kが偶数のとき,N は平方数だから f(n)=2\sqrt{N}=2^{(k+2)/2}
(ii) kが奇数のとき,N は平方数でなく f(n)=2^{(k-1)/2}+2^{(k+1)/2}=3\cdot 2^{(k-1)/2}

となる.

(2) 7!=2^4\cdot 3^2\cdot 5\cdot 7 は平方数ではなく,\sqrt{7!}=12\sqrt{35} である.
70=\sqrt{140}\cdot\sqrt{35}\lt \sqrt{144}\cdot\sqrt{35}=\sqrt{7!}\lt 12\sqrt{36}=72
であり,717!の約数でないことから 7!\sqrt{7!} の前後の約数は 70,72 のペアとなるので
f(n)=70+72=142 となる.

[別解]
(2) 7!=2^4\cdot 3^2\cdot 5\cdot 7 の正約数の個数は 60 個であり,それらを小さい順番に並べると
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
12,14,15,16,18,20,21,24,28,30
35,36,40,42,45,48,56,60,63,70
72,\cdots
となるので,小さい方から30,31番目の約数は 70,72 となる.よって N の約数の中央値の2倍は 70+72=142 である.

7! の約数を半分書くのには5分とかからない.