[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1978年(昭和53年)東京大学-数学(理科)

2023.08.18記

[1] 半径 1 の円 \mbox{O} の周を 6 等分する点を図のように順次\mbox{A}_1\mbox{A}_2,……,\mbox{A}_6とする.弧\mbox{A}_2\mbox{A}_1\mbox{A}_6 および半径 \mbox{OA}_2\mbox{OA}_6 に接する円の中心を \mbox{P} とし,この円 \mbox{P} の周と線分 \mbox{OP} の交点を\mbox{B} とする.線分 \mbox{OA}_3 上に \mbox{OQ}=\mbox{PA}_1 をみたすように点 \mbox{Q} を定める.\mbox{Q} を中心とし \mbox{QA}_3 を半径とする円周と円 \mbox{P} の交点のうちで,直径 \mbox{A}_1\mbox{B} に関し点 \mbox{A}_2 と同じ側にあるものを \mbox{C} とする.

このとき四辺形 \mbox{OPCQ} は平行四辺形であることを証明せよ.また弧 \mbox{A}_1\mbox{A}_2\mbox{A}_3,弧 \mbox{A}_3\mbox{C},弧 \mbox{CBA}_1 によって囲まれた領域(図の太線で囲まれた部分)の面積を求めよ.

[2] 二つの放物線 y=x^2-2x+2 ……(1),
y=-x^2+ax+b ……(2) は,
それらの交点の一つ \mbox{P} で,接線が互いに直交しているものとする.このとき,放物線(2)は,ab の値に無関係な一定の点 \mbox{Q} を通ることを証明し,\mbox{Q} の座標を求めよ.

[3] \mbox{C} を放物線 y=\dfrac{3}{2}x^2-\dfrac{1}{3} とする.\mbox{C} 上の点 \mbox{Q}\left(t,\dfrac{3}{2}t^2-\dfrac{1}{3}\right) を通り,\mbox{Q} における \mbox{C} の接線と垂直な直線を,\mbox{Q} における \mbox{C} の法線という.

(1) xy 平面上の点 \mbox{P}(x,y)\mbox{P} を通る \mbox{C} の法線が一本だけ引けるようなものの存在範囲を求め,xy 平面上に図示せよ.

(2) (1)で求めた範囲と放物線の内部(不等式 y\gt\dfrac{3}{2}x^2-\dfrac{1}{3} の定める範囲)の共通部分の面積を求めよ.

[4] 行列 A=\begin{pmatrix} 1/3 & 5\\ 0 & 3 \end{pmatrix} に対し,次の問に答えよ.

任意の整数 n>0 に対して,A^n数学的帰納法を用いて求めよ.また,与えられた \begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix} に対し
A^n\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} a_n \\ b_n \end{pmatrix}n=12\cdots
とおくとき,極限
u=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{a_n}{\sqrt{{a_n}^2+{b_n}^2}}
v=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{b_n}{\sqrt{{a_n}^2+{b_n}^2}} を求めよ.
ただし \begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}\neq\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix} とする.

[5] 三角形 \mbox{ABC} において,各辺の長さを,\mbox{BC}=a\mbox{CA}=b\mbox{AB}=cと記す.いま辺 \mbox{BC}n 等分する点を \mbox{P}_1\mbox{P}_2\cdots\cdots\mbox{P}_{n-1} とし,\mbox{P}_n=\mbox{C} とする.このとき極限
\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{n}
({\mbox{AP}_1}^2+{\mbox{AP}_2}^2+\cdots\cdots+{\mbox{AP}_n}^2) を求め,これを abc で表わせ.

[6] xy 平面において放物線 y=x^2 の,0\lt x\lt 1 に対応する部分を \mbox{L} とする.(すなわち \mbox{L}= \{ (x,x^2)\,|\,0\lt x\lt 1 \}である.)
\mbox{P}(x,x^2) における \mbox{L} の接線が直線 y=0,直線 x=1 と交わる点をそれぞれ \mbox{A}\mbox{B} とする.また座標が (0,0)(1,0)(1,1) である三点を,それぞれ \mbox{O}\mbox{C}\mbox{D}とする.以下つねに 0\lt x\lt 1 という範囲で考えるものとする.

(1) \triangle\mbox{PAC}\triangle\mbox{PCB} の面積をそれぞれ g(x)h(x) とするとき,g(x)\leqq h(x) となる x の範囲を求めよ.

(2) 線分 \mbox{OC} および線分 \mbox{CD} と放物線の一部\mbox{L} で囲まれた範囲を \mbox{M} とする.ただし \mbox{M} はその周である線分 \mbox{OC}\mbox{CD} および\mbox{L} を含むものとする.いま \mbox{L} 上の点 \mbox{P}(x,x^2) を頂点とし,\mbox{M} に含まれるような三角形のうちで,最大の面積を持つものの面積を f(x) とする.関数 f(x) を求め,そのグラフを描け.また f(x)極値を求めよ.

ただし \mbox{I}=\{ x\,|\,0\lt x\lt 1 \} の点 a で,関数 f が極小値(または極大値)をとるとは,a に近い \mbox{I} のすべての点 x に対してf(a)\leqq f(x)(または f(a)\geqq f(x))となることをいう.極大値と極小値をあわせて極値という.

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