[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)大阪大学-数学(文系)[2]

2022.03.05記

[2]
n2 以上の自然数とし,1 個のさいころn 回投げて出る目の数を順に X_1, X_2, \cdots\cdots, X_n とする.X_1, X_2, \cdots\cdots, X_n の最小公倍数を L_n, 最大公約数を G_n とするとき,以下の聞いに答えよ.

(1) L_2=5 となる確率および G_2=5 となる確率を求めよ.

(2) L_n素数でない確率を求めよ.

(3) G_n素数でない確率を求めよ.


2022.03.05記

[解答]

(1) G_2=5 となる場合は,X_1=X_2=5 だけであるから,その確率は \dfrac{1}{36} であり,
L_2=5 となる場合は,出た目の順が (5,1),(5,5),(1,5) の3通り だけであるから,その確率は \dfrac{1}{12} である.

(2) L_n素数であるためには,n 回の出た目が 「1か2のみ」,「1か3のみ」,「1か5のみ」であるが 「1でない目が少なくとも1回はでる」ことである.よってそれぞれの確率は \dfrac{2^n-1}{6^n} となるので L_n素数である確率は
\dfrac{3(2^n-1)}{6^n} となり,よってL_n素数でない確率は
1-\dfrac{3(2^n-1)}{6^n}=\dfrac{6^n-3\cdot 2^n+3}{6^n}
である.

(3) G_n素数 5であるためには,n 回の出た目が 「5のみ」であるから,その確率は \dfrac{1}{6^n}である.

G_n素数 3であるためには,n 回の出た目が 「3か6のみ」であるが,「少なくとも1回3が出る」ことであるから,その確率は \dfrac{2^n-1}{6^n}である.

G_n素数 2であるためには,n 回の出た目が 「2か4か6のみ」であるが,「4だけではなく、6だけでもない」ことであるから,その確率は \dfrac{3^n-2}{6}^nである.

以上から,求める確率は
1-\dfrac{1+(2^n-1)+(3^n-2)}{6^n}=\dfrac{6^n-2^n-3^n+2}{6^n}
である.

下手な考え休むに似たり,ということで機械的に漸化式を作る.

[別解]

(2) L_n=kk=1,2,3,5) となる場合の数を l_n(k) とすると
l_{n+1}(1)=l_n(1)
l_{n+1}(2)=l_n(1)+2l_n(2)
l_{n+1}(3)=l_n(1)+2l_n(3)
l_{n+1}(5)=l_n(1)+2l_n(5)
という漸化式が得られ,l_n(1)=1 だから
l_{n+1}(2)=2l_n(2)+1
l_{n+1}(3)=2l_n(3)+1
l_{n+1}(5)=2l_n(5)+1
となり,
l_{n}(2)=2^{n-1}(l_1(2)+1)-1=2^n-1
同様に
l_{n}(3)=l_{n}(5)=2^{n-1}(l_1(2)+1)-1=2^n-1
が成立する.よって求める確率は
\dfrac{6^n-l_n(2)-l_n(3)-l_n(5)}{6^n}=\dfrac{6^n-3\cdot 2^n+3}{6^n}
である.

(3) G_n=k となる場合の数を g_n(k) とすると
g_{n+1}(1)=g_n(1)
g_{n+1}(2)=3g_n(2)+2g_n(4)+2g_n(6)
g_{n+1}(3)=2g_n(3)+g_n(6)
g_{n+1}(4)=g_n(4)
g_{n+1}(5)=g_n(5)
g_{n+1}(6)=g_n(6)
という漸化式が得られ,g_n(1)=g_n(4)=g_n(5)=g_n(6)=1 だから
g_{n+1}(2)=3g_n(2)+4g_{n+1}(3)=2g_n(3)+1
となり,
g_{n}(2)=3^{n-1}(g_1(2)+2)-2=3^n-2
g_{n}(3)=2^{n-1}(g_1(3)+1)-1=2^n-1
が成立する.よって求める確率は
\dfrac{6^n-g_n(2)-g_n(3)-g_n(5)}{6^n}=\dfrac{6^n-2^n-3^n+2}{6^n}
である.

ちなみに,使わなかったが,
l_{n+1}(4)=l_n(1)+l_n(2)+3l_n(4)
l_{n+1}(6)=l_n(1)+l_n(2)+l_n(3)+4l_n(6)
l_{n+1}(10)=l_n(2)+l_n(5)+3l_n(10)
l_{n+1}(12)=l_n(2)+l_n(3)+l_n(4)+l_n(6)+5l_n(12)
l_{n+1}(15)=l_n(3)+l_n(5)+3l_n(15)
l_{n+1}(20)=l_n(4)+l_n(5)+l_n(10)+4l_n(20)
l_{n+1}(30)=l_n(5)+l_n(6)+2l_n(10)+l_n(15)+5l_n(30)
l_{n+1}(60)=l_n(12)+l_n(15)+2l_n(20)+l_n(30)+6l_n(60)
であり,l_{n}(k)=0k60の約数ではない)である.念のため書いておくと,
l_{n+1}(60) には =l_n(10) は含まれない.L_n=10 のとき,次に 6 が出ても,L_{n+1}=30 であって最小公倍数が 60 にはなないからである.