[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2008年(平成20年)東京大学前期-数学(理科)[5]

本問のテーマ
レピュニット数(2021.02.05)
ハーシャッド数(2021.02.05)

2021.02.05記
レピュニット数とは各位が全て1の数であり,1,11,111,1111,…と続く.p 進法では R_n=\dfrac{p^n-1}{p-1} の形であるから,2進法ではメルセンヌ数である.自然数 m,n に対して mn の約数であるとき R_mR_n の約数となる.この証明は簡単で p^n-1p^m-1 で割り切れることからわかり,本問でもこの性質が活躍している.なお,本問では R_n=\fbox{$n$} と表現されている.

ハーシャッド数とは,自然数の各位の和が元の約数に含まれている自然数のことであり,本問から(10進法)の R_{3^m}=\fbox{$3^m$} はハーシャッド数である.(1) はこれに関連した出題である.10進法でR_{3^m}=\fbox{$3^m$} がハーシャッド数となる証明では,各位の和を3で割った余りともとの数を3で割った余りが等しいことが活躍している.

[解答]

(1) m=0 のとき,
\fbox{$3^{0}$}=\fbox{$1$}=11 で割れるが 3 で割れないので OK.

m\geqq 1 のとき,
\fbox{$3^{m}$}=\fbox{$3^{m-1}$}\times (10^{2\cdot 3^{m-1}}+10^{3^{m-1}} +1) であるが,
10^{2\cdot 3^{m-1}}+10^{3^{m-1}} +1\equiv 3 (\mbox{mod}\, 9) より,3の倍数であり,9の倍数ではないから,\fbox{$3^{m}$} が 3 で割りきれる回数は \fbox{$3^{m-1}$} が 3 で割りきれる回数より丁度1回だけ多い.よって帰納的に \fbox{$3^{m}$} は 3 で丁度 m 回だけ割りきれるので題意は成立する.

(2) \fbox{$n$}\equiv n (\mbox{mod}\, 9) であるから,\fbox{$n$} が27 で割りきれるならば,n が9の倍数であることが必要である.そこで n=9k とおくと
\fbox{$9k$}=\fbox{$9$}\times (10^{9(k-1)}+10^{9(k-2)}+\cdots +10^9+1)
であり,10^{9(k-1)}+10^{9(k-2)}+\cdots +10^9+1\equiv k(\mbox{mod}\, 3)であるから,(1) により \fbox{$n$}=\fbox{$9k$} が 27 で割り切れるための必要十分条件k が3で割り切れることであり,よって n が 27の倍数であることである.

同様に考えると,n=3^p\cdot qq は3と互いに素)に対して
\fbox{$3^p\cdot q$}=\fbox{$3^p$}\times (10^{3^p(q-1)}+10^{3^p(q-2)}+\cdots +10^{3^p}+1) であり,10^{3^p(q-1)}+10^{3^p(q-2)}+\cdots +10^{3^p}+1\equiv q\not\equiv 0(\mbox{mod}\, 3)であるから,\fbox{$3^p\cdot q$}\fbox{$3^p$} が3で割りきれる回数は等しく,(1) より p 回である,と一般化できる.

本問(2)の場合,27 で割るという特殊なケースなので,次のように考えることもできる.

(2) \fbox{$n$}\equiv n (\mbox{mod}\, 9) であるから,\fbox{$n$} が27 で割りきれるならば,n が9の倍数であることが必要である.そこで n=9k とおくと
\fbox{$9k$}=\fbox{$k$}\times (10^{8k}+10^{7k}+\cdots +1)=\fbox{$k$}\times \{(10^{8k}-1)+(10^{7k}-1)+\cdots +(1-1)+9
であるから,10^{8k}+10^{7k}+\cdots +1 を 9 で割った商は
\fbox{$8k$}+\fbox{$7k$}+\cdots +\fbox{$k$}+1\equiv 8k+7k+\cdots +k+0+1=36k+1\equiv 1(\mbox{mod}\, 3) であるから,
10^{8k}+10^{7k}+\cdots +1 は27では割りきれない.
よって \fbox{$n$}=\fbox{$9k$} が 27 で割り切れるための必要十分条件\fbox{$k$}\equiv k(\mbox{mod}\, 3) が3で割り切れることであり,よって n が 27の倍数であることである.