[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1958年(昭和33年)東京大学-数学

2020.10.25記

4科目のうち2科目を選択せよ

【解析I】

[1] xに関する方程式x^2+2(1-\cos\alpha^{\circ})x+(1-\sin\alpha^{\circ})^2=0が実根をもつとき,xに関する方程式
x^2-2x+\cos(\alpha^{\circ}+45^{\circ})+1=0
は実根をもつか虚根をもつかしらべよ.

[2] 変量 y が変量 x に正比例することは理論的にわかっているが,比例定数 a の値がわからない.そこで, x=234 のときの y の値を測ったところ,それぞれ 3.14.45.6 という測定値を得た.a の値をかりに定めたとき 3.1-2a4.4-3a5.6-4a
をそれぞれ x=234 に対応する y の測定の誤差とみなす.このとき,

(i) 誤差の二乗の和が最小となるように a の値を定めよ.

(ii) 誤差の絶対値の和が最小となるように a の値を定めよ.

ただし,小数第三位を四捨五入して小数第二位まで求めよ.

[3] 一平面上の二点P(x,y)Q(X,Y)の座標の間に,X=\dfrac{x}{x^2+y^2},Y=-\dfrac{y}{x^2+y^2}という関係がある.
このとき,点P(x,y)が,不等式
(4x+3y-5)(4x-3y+5)\gt0
で表わされる範囲を動くとき,点Q(X,Y)はどのような範囲を動くか.Pの動く範囲およびQの動く範囲に斜線を引いて,これらを示せ.

【解析II】

[1] 平面上に点列 {\rm P}_0{\rm P}_1,……,{\rm P}_n,…… があって,点 {\rm P}_n の座標(x_n,y_n) と点 {\rm P}_{n+1} の座標 (x_{n+1},y_{n+1}) の間に
\left\{ \begin{array}{l} x_{n+1}=\dfrac{2}{3}x_n+\dfrac{1}{3} y_n \\ y_{n+1}=\dfrac{1}{3}x_n+\dfrac{2}{3} y_n  \end{array} \right.
n=0,1,2,\ldots
という関係があるとする.n が限りなく増すとき,点 {\rm P}_n はどのような点に近づくか,この点の座標  (x,y)x_0,y_0 で表わせ.

[2] 底面の半径が  a であるような直円柱がある.底面の直径を通り,底面と角  \alpha をなす平面でこの直円柱をきり,この平面と直円柱の底面および側面で包まれた図のような立体の体積を求めよ.ただし,  0\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2} とする.

図略

[3] 水平面上に 8a\,\mbox{cm} だけ離れた二定点 \rm A,H があり,\rm H の真上には高さa cm のところに点 \rm B がある.線分\rm AH に点 \rm P をとり,最初 \rm B に静止していた動点が線分 \rm BP,PA に沿って \rm B から \rm A まで動くとき \rm BP 上では等加速度 \dfrac{\rm BH}{\rm BP} g\,\mbox{cm/sec}^2 で進み,\rm PA 上では動点が \rm P に達したときの速度の水平成分に等しい等速度で進む.

動点が \rm B から \rm A まで最短時間で到達するには \rm HP をいくらにすればよいか.ただしg は正の定数である.

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【幾何】

[1] 半径 a の円の内部に凸四辺形がある.各頂点はその点を通る辺を延長してできる弦の三等分点になっている.この四辺形はどんな四辺形か,またこの四辺形の面積を求めよ.

[2] 平面上において,二定点 \rm A,B を両端とする任意の円弧の三等分点のうち \rm A に近い方の点の軌跡を求めよ.

[3] ある直円錐とそれに内接する球の体積の比が 2 :1 であるとき,この直円錐の底面の半径と高さとの比を求めよ.

【一般数学】

[1] 連立方程式 0.5x+1.2y=4.10.3x+1.8y=4.4 がある.左辺の係数および右辺の数値が,いずれも小数第二位を四捨五入した近似値であるとすれば,x の真の値はどのような範囲にあるか.

[2] 定員5人を選ぶ選挙に \rm A\rm B\rm C\rm D\rm E\rm F\rm G\rm H の8人が立候補し,選挙のときの総投票数は5700票であった.現在までの開票結果は右の票の通りである.当選確実な候補者はだれか.

\rm A 1143
\rm B 850
\rm C 745
\rm D 712
\rm E 602
\rm F 419
\rm G 409
\rm H 321
無効票 3

[3] 右の図のように18個のランプ {\rm L}_i とスイッチ {\rm S}_i が円形においてある.ランプはすべて消えており,スイッチはすべて開いている.一つのスイッチをいれると,それから矢印の方向に三つ目のランプがつくものとする.

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また,一たんランプがつくとそれと同じ番号のスイッチは使用不能になるものとする.しかし,ある番号のスイッチをいれてもそれと同じ番号のランプは依然としてつけることができる(たとえば,スイッチ {\rm S}_{18} をいれるとランプ {\rm L}_{3} がつく.そして,スイッチ {\rm S}_{3} は使用不能となり,ランプ {\rm L}_{6} はもうつかなくなる.しかし,{\rm S}_{15} をいれればランプ {\rm L}_{18} をつけることができる).

いま,スイッチ {\rm S}_{1} から始めて,次々にスイッチを入れて,なるべく多くのランプをつけたい.いくつまでつけることができるか.また,どのような順にスイッチをいれればよいか.


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