2023.08.11記
[6] 赤球が一個と白球が三個入った容器
と,ほかに赤球と白球の入った容器
と
がある.いま,
,
,
から無作為に一個ずつ合計三個の球を取り出し,これらからやはり無作為に一個をとって
にかえすという操作をくり返す.ただし容器
から赤球が取り出される確率と白球が取り出される確率とは共に
に保たれており,容器
からはつねに赤球が取り出されるものとする.
(i) 上記の操作を 回くり返したとき,容器
に
個の赤球が入っている確率を
,
,
,
,…で表せば,関係式
が成り立つことを証明せよ.ただし または
のときは
と定める.
(ii) 回目の操作を終えたとき
の中にある赤球の数の期待値
を求めよ.
(iii) を求めよ.
本問のテーマ
2023.08.12記
最終的には,3つの容器を全部混ぜてから4個の球を選んだときの赤球の個数の期待値が となる.
容器 と
には無限個の球があり,容器
と
と1個ずつ球を取り出すのだから,全体ではほぼ75%の赤玉があることとなるので,
赤玉の割合の期待値は 75% となるので, となることがわかる.
[解答]
(i)
から赤が出た場合,
に赤が戻る確率は

であり,
から白が出た場合,
に赤が戻る確率は

だから



となる.これを整理して,




を得る.
(i)
であり,
だから
となる.これを整理して,
を得る.
(ii) (i) で とおくと
となるので,期待値は
となる.ここで
であるから,
となる.この2項間漸化式を解くと
となるので,
を得る.
(iii) のとき
である.
だから,
,
とおくと
,
が成立する.
ここで
であるから,
となる.
また, の固有値1に対応する固有ベクトル(のうち成分和が1となるもの)は
となるので,十分大きな に対しては
,
,
,
,
が成立し,期待値も
となる.