[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1967年(昭和42年)京都大学-数学(理系)旧課程[5]

2026.02.14.13:00:50記

[5] (旧課程)\triangle\mbox{ABC} の周上の 2\mbox{P}\mbox{Q} を結ぶ線分 \mbox{PQ}3 角形の面積を 2 等分する.このような線分 \mbox{PQ} の長さの最小値を求めよ.ただし \mbox{BC}\mbox{CA}\mbox{AB} の長さをそれぞれ abc とし,また a\gt b\gt c とする.

本問のテーマ
双曲線の接線と漸近線でできる三角形の面積
(ヘロンの公式)

2026.02.18.00:49:04記
細かいところが面倒です(1975年(昭和50年)東京大学-数学(理科)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR を解いたときにうっかり見落して間違えてしまっていました).

[大人の解答]
2\mbox{P}\mbox{Q} がそれぞれ半直線 \mbox{AB}\mbox{AC} 上にあるとする.このとき \mbox{A} を中心とし,2 直線 \mbox{AB}\mbox{AC} を漸近線とする双曲線の接線と 2 直線 \mbox{AB}\mbox{AC} で囲まれる三角形の面積は一定であるから,その接線と半直線 \mbox{AB}\mbox{AC} の交点をそれぞれ \mbox{P}\mbox{Q} とすれば, \triangle\mbox{APQ} の面積は必ず \triangle\mbox{ABC} の半分となるような双曲線を選ぶことができる.

このとき線分 \mbox{PQ} の長さは接点が双曲線の頂点に近いほど小さくなり,最小となるのは \triangle\mbox{APQ}\mbox{AP}=\mbox{AQ} の二等辺三角形となるときである.ここで \triangle\mbox{ABC} の形状によっては \mbox{P},\mbox{Q} が線分 \mbox{AB}\mbox{AC} からはみ出す場合があることに注意しておく.

さて,面積が一定の二等辺三角形において底辺が短くなるほど高さが高くなり,よって定角の正接も増加するので頂角が小さいほど底辺も短くなることと,三角形の内角の大小と対辺の大小が一致することに注意すると線分 \mbox{PQ} の長さは「\triangle\mbox{CPQ}\mbox{PQ} を底辺とする二等辺三角形…(☆)」のときの \mbox{PQ} の長さ未満となることはない(現時点では \mbox{P},\mbox{Q} が線分 \mbox{CA}\mbox{CB} からはみ出しているかも知れないことに注意しておく).

ここで(☆)の場合,\mbox{CP}\cdot\mbox{CQ}=\dfrac{ab}{2} より \mbox{CP}=\mbox{CQ}=\sqrt{\dfrac{ab}{2}} となるが,\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\gt b と仮定すると a\gt 2b となり,a\gt b+c となるので \triangle\mbox{ABC} の成立条件に矛盾する.よって \sqrt{\dfrac{ab}{2}}\lt b(\lt a) であり,\mbox{P},\mbox{Q} は線分 \mbox{AB}\mbox{AC} 上にあるので,求める \mbox{PQ} の最小値は(☆)の場合に達成される.

このとき余弦定理から
\mbox{PQ}^2=\mbox{CP}^2+\mbox{CQ}^2-2\mbox{CP}\cdot\mbox{CQ}\cdot\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2ab}=ab-\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2}=\dfrac{c^2-(a-b)^2}{2}=\dfrac{(c+a-b)(b+c-a)}{2}
が成立するので.求める最小値は \sqrt{\dfrac{(c+a-b)(b+c-a)}{2}} である.

以上のことは普通に計算しても大したことありません.

[解答]
a+b+c=l とおく.2\mbox{P}\mbox{Q} がそれぞれ \mbox{AB}\mbox{AC} 上にあるとする.\mbox{AP}=p\mbox{AQ}=q とおくと pq=\dfrac{bc}{2} である.

余弦定理により
\mbox{PQ}^2=p^2+q^2-2pq\cdot\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}=p^2+q^2-\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2}
=(p-q)^2+2pq-\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2}=(p-q)^2+bc-\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2}
=(p-q)^2+\dfrac{a^2-(b-c)^2}{2}=(p-q)^2+\dfrac{(l-2c)(l-2b)}{2}
\geqq \dfrac{(l-2c)(l-2b)}{2}
が成立する.ここで p=q となれるかどうかわからないので等号が成立するかはわからない.

他の場合も考え,l-2c\gt l-2b\gt l-2a であることに注意すると
\mbox{PQ}^2\geqq  \dfrac{(l-2a)(l-2b)}{2}…(★)
が成立する.ここで等号が成立するためには,pq=\dfrac{ab}{2}p=q が成立しなければならないが,p=q となれるためには \mbox{P},\mbox{Q} が線分 \mbox{AB}\mbox{AC} 上にあるための条件 p=q=\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\leqq b(\lt a) を満たさなければならない.

今,\triangle\mbox{ABC} の成立条件から a\lt b+c\lt 2b となり p=q=\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\lt\sqrt{\dfrac{a\cdot 2b}{2}}=b(\lt a) が成立するので確かに \mbox{P},\mbox{Q} が線分 \mbox{AB}\mbox{AC} 上にとることができ,よって(★)の等号が成立するような \mbox{P},\mbox{Q} が存在する.

よって \mbox{PQ} の最小値は \sqrt{\dfrac{(b+c-a)(c+a-b)}{2}} となる.

[大人の解答]の面積が一定の二等辺三角形において底辺が短くなるほど…の議論を活かすと次のようになります.

[別解]
\triangle\mbox{ABC}=S とおく.

2\mbox{P}\mbox{Q} がそれぞれ \mbox{AB}\mbox{AC} 上にあるとする.\mbox{AP}=p\mbox{AQ}=q とおくと pq=\dfrac{bc}{2} であり,S=\dfrac{1}{2}bc\sin A であるから pq=\dfrac{S}{\sin A} である.

余弦定理により
\mbox{PQ}^2=p^2+q^2-2pq\cos A=(p-q)^2+2S\cdot\dfrac{1-\cos A}{\sin A}=(p-q)^2+2S\tan\dfrac{A}{2}\geqq 2S\tan\dfrac{A}{2}
が成立する.等号成立は p=q=\sqrt{\dfrac{bc}{2}} のときであるが,p=q\gt c の場合は等号が成立するような \mbox{P}\mbox{AB} 上にとることができないので等号が成立するとは限らない.

他の場合も考えると \mbox{PQ}^22S\tan\dfrac{A}{2}2S\tan\dfrac{B}{2}2S\tan\dfrac{C}{2} のうち最小のもの未満になることはないが,a\gt b\gt c により 0\lt \dfrac{C}{2}\lt\dfrac{B}{2}\lt\dfrac{A}{2}\lt\dfrac{\pi}{2} であるから必ず
\mbox{PQ}^2\geqq 2S\tan\dfrac{C}{2}…(★)
が成立する(等号が成立する \mbox{P}\mbox{Q} が存在するかどうかはこれから確認する).

(★)の右辺は二辺の長さが \sqrt{\dfrac{ab}{2}},その二辺の夾角が C となる二等辺三角形の対辺(底辺)の長さの二乗であるから,余弦定理により
2S\tan\dfrac{C}{2}=\left(\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\right)^2+\left(\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\right)^2-2\left(\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\right)\left(\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\right)\cos C=ab-\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2}=\dfrac{(c+a-b)(b+c-a)}{2} となる.

このとき \triangle\mbox{ABC} の成立条件から a\lt b+c\lt 2b となり p=q=\sqrt{\dfrac{ab}{2}}\lt\sqrt{\dfrac{a\cdot 2b}{2}}=b(\lt a) が成立するので確かに \mbox{P},\mbox{Q} が線分 \mbox{AB}\mbox{AC} 上にとることができ,よって(★)の等号が成立するような \mbox{P},\mbox{Q} が存在する.

よって \mbox{PQ} の最小値は \sqrt{\dfrac{(b+c-a)(c+a-b)}{2}} となる.

2S\tan\dfrac{C}{2} を直接辺の長さで表現するのは面倒です.ヘロンの公式を傍接円と内接円の関係から求めたことがあれば,r,r_{\rm C}\triangle\mbox{ABC} の内接円の半径および \mbox{AB} に接する傍接円の半径とし,s=\dfrac{a+b+c}{2} とすると
r:(s-a)=(s-b):r_{\rm C} から rr_{\rm C}=(s-a)(s-b) が成立するので,
S=sr=(s-a)r_{\rm C}=\sqrt{s(s-a)rr_{\rm C}}=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}
を導いたことを思い出すでしょう.このとき
\tan\dfrac{C}{2}=\dfrac{r}{s-c}=\dfrac{r_{\rm C}}{s}=\sqrt{\dfrac{rr_{\rm C}}{s(s-c)}}=\sqrt{\dfrac{(s-a)(s-b)}{s(s-c)}}
も成立します.よって
2S\tan\dfrac{C}{2}=2(s-a)(s-b)=\dfrac{(b+c-a)(c+a-b)}{2}
が得られます.

1975年(昭和50年)東京大学-数学(理科)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2005年(平成17年)東京大学後期-数学[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR(2026.02.15時点で解いていない)
も参照してください.

ヘロンの公式の変な証明 - 球面倶楽部 零八式 mark II