[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1990年(平成2年)東京大学前期-数学(理科)[3]

2024.01.04記

[3] V を一辺の長さが 1 の正 8 面体,すなわち xyz 空間において|x|+|y|+|z|\leqq\dfrac{1}{\sqrt{2}} をみたす点 (x,y,z) の集合と合同な立体とする.

(1) V の一つの面と平行な平面で V を切ったときの切り口の周の長さは一定であることを示せ.

(2) 一辺の長さが1の正方形の穴があいた平面がある.V をこの平面にふれることなく穴を通過させることができるか.結論と理由を述べよ.

2021.01.30記

[解答]
(1) 1つの面は x+y+z=\dfrac{1}{2} だから x+y+z=\dfrac{t}{\sqrt{2}}|t|\leqq\dfrac{1}{2})における断面を考えると,
それは隣り合う辺のなす角度が120度の六角形で,その辺の長さは順番に t,1-t,t,1-t,t,1-t であり,周の長さは 3 で一定である.

(2) (1)の凸六角形の対角線の長さの最大値はある頂点と3個離れた頂点との距離の 1 であるから,3つある互いになす角度が120度の長さが1の対角線のいずれも正方形の各辺に平行にならないように配置すると,正方形の周に触れることはない.よって正8面体をこの向きのまま正方形に触れることなく通過させることができる.